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11月29日
民間道路会社に期待するもの
採算性や顧客サービス重視
道路公団には国土交通省の権限を守り、退職役人の生活を保証し、かつ彼らに収益性を考えずに有料道路を建設し運営するという心地よい職場を用意するという機能があった。
道路公団が民営の道路会社に変わると、新会社はそういう機能を捨て去り、利益の増大という目的に向かって自由な経営を展開できる。どのような経営に変わるだろうか。
まず道路の建設や改修が系列会社に高い価格で発注されて、公団ファミリーの利益が守られるといったことはなくなる。それは一般の建設業者に公開入札されるから、コストは大幅に下がるはずだ、また用地買収については今までのように地主の言い値近くにならない。激しい値引き交渉が繰り返される。民営化とともに、こうした採算を考えずに仕事をするという体質が一変する。
高速道路のサービスエリアには、例えば、コンビニ、ATM、宅配便といった利便性を備えた店から、ファーストフード、ユニクロとか、さらに大きなサービスエリアには美味しいレストランや百貨店、ビジネスホテルが誘致されるだろう。それ等は、隣接したサービスエリアと互いに激しく競争するので、価格・サービス両面で顧客を満足させるだろう。
こうした競争によって、高速道路のドライブの魅力が高まって通行車両が増し、また新会社の不動産レンタル料金が増加する事によって、通行料の引き下げも可能になろう。このように民営会社の経営については、いろいろと夢が拡がる。
ところで、今後の高速道路の建設計画には問題が多い。第2東名もその例外ではない。それは肝心の東京ー横浜間の路線が決まっていないからだ。このまま第2東名が完成した場合には東名高速ではなく、横名高速になってしまう。その高速道路は厚木付近で確実に大混雑が発生するから、利用者が少なくなり、膨大な赤字が発生するにちがいない。国営企業だったから、東京ー横浜間の路線が決まっていないのに、各地で着工するという馬鹿げたやり方をするのだ。民営の道路会社なら、まず東京ー横浜の用地買収と工事を最優先するはずだ。
民営道路会社は、高速道路の交通料が高くなって、通行車両が減ることを最も恐れるだろう。そのための対策を考えなければならない。例えば、いくつかのインターチェンジの周辺では、ディベロッパー会社によるハイテク工業団地の建設が期待できよう。ハイテク製品は重量当たりの価格が非常に高いので、在庫コストが重くなるが、同時に運賃負担能力が大きい。それは高速道路と航空機を結合した交通システムによる輸送に適していることになる。
沿線経済活性化を視野に
近くの都市に工業が集積し、かつ大学、研究所が立地していれば、自然環境が豊かであって、しかも地価が安いハイテク産業団地が開発できる。それとともに周辺に人口が集積すれば貨物輸送だけではなく、マイカーの通行も増える。かって私鉄会社は新路線を建設する時に、同時に沿線を開発して乗客を創造した。成城学園、田園調布、甲子園、宝塚等はその開発例だ。これからの高速道路は建設する時、沿線の自治体やディベロッパーと協力して、通行車両を増やす方法を考えるべきだ。それに成功したとき、日本経済の自立的な成長力が強まるのである。
民営道路会社は高速道路の建設を沿線経済の活性化と結合してとらえて、交通需要を創造しようとするだろう。沿線経済に活性化といった息の長い仕事には地方自治体の参加が欠かせない。自治体はそのための専門家を早急に揃える必要がある。民営道路会社は沿線自治体の政策企画能力も考慮して、活性化の可能性がないと判断された地域の計画は廃止するだろう。それは当然だ。