静岡新聞論壇

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10月27日

パソコン学習の重要性

ネット普及率低い日本

IT(情報技術)は目覚ましい勢いで進歩しており、今後パソコンを利用する人が増えれば増えるほど、日本経済は効率的になるにちがいない。最近、インターネットで航空機やホテル等を予約し、さらに旅行先の天気予報や乗り物の時刻を調べる人が増えた。若い人はインターネットでCDや本を買っている。エコノミストにはインターネットが欠かせなくなった。最新の経済情報や統計数値を知るには実に便利だし、また過去の統計数値が簡単にわかるから、経済現象のトレンドを知り、何時でも物事を大局的に判断できる。

日常生活でもインターネットによって貴重な情報が得られる。例えば慢性病に罹っている人は、インターネットから新しい療法や病気とうまく共存した体験など多様な情報が得られる。それらの情報は医師や患者から発信され、慢性病の「友の会」についての案内がでている時もある。それは「同病相憐れむ」であり、実際に同病者と話しあえば、心が安まり、闘病のヒントが得られるだろう。

友達との連絡は何といってもeメールが便利だ。特に同窓会などメンバー全員に知らせるときそうだ。今後、次第に自分で血圧や脈拍等を計り、その結果を自宅から病院に送り、医師がEメールで治療方法を指示するいうやり方が広がるだろう。インターネットやEメールが普及すると、生活情報が豊富になり、また専門的な知識が深まり、さらに友人関係の輪が広がる。その上商品やサービスのコストが低下するだろう。

ところで問題は、日本のインターネット等の普及率が低いことだ。アメリカでは全人口の40%以上がインターネットを利用している。シンガポールや香港は30%近い。日本では20%に達していない。韓国は株式取引の75%がインターネット取引であるが、日本では5%以下だ。 日本が遅れた最大の理由はアメリカやシンガポールの3倍もする高い通信料金だ。アメリカでは安い料金でインターネットを繋ぎっぱなしにすることができる。韓国では3年間の徴兵制が、インターネット人口を底上げしている。兵器はエレクトロニクスの固まりであるから、多くの軍人はパソコンを自由に操作できる。またハイテク工場で3年間働けば徴兵免除になる。そこではパソコンが広く使われている。韓国人は軍隊に行っても行かなくてもパソコンを軽く操作できるようになる。

台湾も同じような事情にあるだろう。

日本でも、インターネットやEメールに慣れなければ、満足に仕事ができない職種が急速に増えてきた。

またインターネットを通じて求人をする会社が多くなってきたた。若い人は否応なしにインターネットやEメールに慣れざるをえない。またiモードが急速に普及しているので、若い人には問題がない。零細企業や一次産業に勤めている中年の人達は、習うチャンスが少ないので問題だろう。

中高年齢者が学ぶ場を

最も問題が大きいのは中高年令者だ。彼らは夫婦二人の生活を送っているので、周りに教えてくれる人がいない。しかし、彼らにもパソコン技能が必要だ。というにはこれから人口構成は老齢化が一層進み、このままで行けば確実に年金基金や国家財政は破綻するからだ。

それを防ぐ方法は、高年齢者が体力に応じて働いて年金の受給年齢を遅くし、また医療費が安く済むように工夫することだ。パソコンが自由に扱えれば、中高年令者が4分の1の賃金で1日置きに働くとか、あるいは労働の密度を2分の1にして働くいう就業機会が生まれるはずだ。また生活にインターネットやEメールを利用できれば、生活コストが安くて済む。

パソコンの操作は、IT時代の読み書き算盤であり、それは読み書きと同じように国家が国民全員に与えるべき知的インフラになってきた。零細企業、農業等で働いている人々と中高年令者には一種の義務教育として半年間ぐらいパソコン学校に通えるようにすべきだろう。そのための財政支出は公共事業より余程重要である。

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