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12月31日
COP15と日本の成長戦略
最有力の新エネ、エコ産業
COP15は、温暖化ガスの拘束力ある削減目標を決める予定だったが、アメリカや中国等の反対によって、結論が先送りされた。日本は2020年までに25%削減(90年基準)という厳しい目標を提出した。その理由は、日本経済にとって、新しい成長戦略が必要だったからだ。
日本経済が急速な老齢化をともなう人口減少と、工場の海外移転によって成長力を失っった。また現在の新技術であるIT製品は経済をあまり刺激しない。それは低額である上に、既存製品を駆逐している。パソコンや携帯電話が普及すると、本、辞書、新聞等の売れ行きが不振になり、オンライン販売は小売店を苦境に追い込んでいる。
日本経済が成長するには、膨大な需要を誘発し、かつ巨額な投資によって生産される大型産業が必要だ。新エネやエコ産業はその最有力候補である。太陽光発電設備は将来、家電のように一般家庭に広く普及し、住宅は断熱壁に囲まれるに違いない。
電気自動車は、家庭のソケットが電源になり、排気ガスを出さないから、玄関横が車庫になるだろう。電気自動車が多様化して、玄関横の居間として利用できる車や、静かに低速で街を走る小型2輪車・3輪車等が生まれるだろう。その時には、住宅や都市の構造が変わり、巨額な内需と投資が発生し、日本経済は長期的な経済軌道に乗れる可能性がある。
拘束力ある厳しい国際基準が制定されれば、割高についている新エネ、エコ製品の内需が拡大するに違いない。国民は納得してコストを負担するからだ。また、膨大な量の新エネやエコ関連の機械設備が発展途上国に輸出されるだろう。
中国は、日本の主張に反対だ。排出ガスを厳しく制限したならば、経済成長率が鈍化するだけではなく、日本に対する新エネ・省エネ・エコ技術の依存度が増す。
やっと世界の経済・政治大国に躍り出した中国が、自ら経済成長力を抑えて、日本からエコ機器の輸入を増やす積もりはない。また欧米先進国が、排出権取引市場を拡大して、利益を上げるのに協力する気はさらさらない。
国際基準受け入れぬ米中
中国は2020年までにGDP・1単位を生産する際に排出されるCO2を40~45%自主的に減らすと主張したが、今後、10%近い経済成長が続ければ、この約束が直ちに実施されても、2020年の排出量は現在の50%増になってしまう。
中国は内陸部の無限な内需に支えられて、今後もハイペースの経済成長を続けることが可能だ。経済がさらに発展した後、自力開発や海外企業の買収によって、排出ガス削減やエコの技術水準を高めたいと考えている。
中国は天然資源も人的資源も豊富であり、単独で成長できるから、世界の情勢に影響を受けずに、独自の判断で独自の方向に行動する癖がついている。
漢民族には海外へ大規模に武力進出した歴史がない。周辺国に「中華秩序」を認めさせ、独自な行動をとれる国際環境を創ることが重要だった。ガス排出量に関する国際的な監視をきっぱり拒否するのは予想通りだった。
アメリカは、金融バブル依存の経済成長が破綻し、深刻な金融危機が長引きそうだ。しかし人口が増加しているので、日本のように、成長の活路を新エネやエコ産業に求める必要がない。アメリカは、経済の現状から見て、企業収益に悪影響を与える可能性が大きい厳しい国際基準に反対だった。
「温暖化絶対防止」を掲げた鳩山内閣の成長戦略は悪くなかった。遠くない将来、世界はその方向に動くだろう。心配なのは、その頃、中国、韓国、台湾の技術水準が高まり、IT産業におけるように、日本を抜き去る可能性が大きいことだ。