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2月5日
夢与える市町村合併
長所は行政コストの減少
市町村合併ムードが各地で盛り上がっている。今年に入って、東京都の田無市と保谷市が合併し、西東京市が生まれた。合併都市は多くの場合、旧市の人達が何れも新しい市の名前に拘泥し、結局折衷案が採用される。そのため住民の品格が疑われような情緒のない名前が付けられる。西東京市はその好例だ。
市町村合併の最大の目的は、自治体の行政や事業にスケール・メリットを働かせ、行政コストを引き下げ、行政サービスを向上させることだ。市の合併とともに、市長が1人減り、議員数が半減するので、それだけの人件費は確実に行政コストがさがる。
合併する2つの都市は、市街地や郊外住宅地が連続している場合が多い。市の境の地域では、2つの市がバラバラにそれぞれの境界内のゴミを収集していた時より、1つの市になって境界を越えてまとめて収集した方が遙かに効率的だ。また境の地域における介護サービスも効率化するはずだ。2市のゴミを処理する施設は一層大型になるだろうから、ダイオキシンの発生が防がれる上に、コストが下がるだろう。水道事業が一本化すれば水源利用がもっと効率化する。
市の行政や事業を効率化すれば、今までより少ない人数でやれる。市の合併は企業合併と同じように雇用問題を発生させる。逆に合併とともに、雇用問題が発生しなければ、行政コストは下がらず、合併の効果が上がらないことになる。
ところで、これから人口の老齢化が一層進むと、年配者の再雇用対策や老人介護等市町村の仕事が増えてくる。自然環境維持の仕事も増えるはずだ。また地域の発展のためにはハイテク産業の成長が必要だ。そのためには大学の誘致や文化的な環境を充実させる必要がある。これらの仕事には専門的な能力が必要であり、市役所で過剰になったマンパワーを戦力化するためには厳しい再教育が必要だ。
今後IT化が目覚ましいスピードで進み、自治体の行政や事業は激しく変化するだろう。そうした時代には、市の組織を常に変化に応じられるように柔軟にしておくことが必要だ。ハコモノに対する考え方も変えなければならない。市が合併すると、新しい市の中心地に新市庁舎建設しようと考える人がいる。
しかし市民に対するサービスの多くがインターネットを通じて行われるような時代には、大きな市庁舎はいらない。そもそも大きな市庁舎はやっかいな存在であり、市庁舎、大型ホール、美術館等は街のにぎわいや発展の妨げになる。役所や美術館は夕方になると閉まり、辺りは寂しくなる。大型ホールは催しがある時刻だけ人が出入りする。東京では役所が集まっている霞ヶ関や、大型ホールと美術館が集まっている上野が寂しいのはそのためだ。
大きなハコモノは不必要
変化が激しい時代には、大きなハコモノをつくらないことだ。首都移転に関して、「官庁毎に建物を造るという習慣を止めるべきだ。普通の事務所ビルを使えばいい。最近の事務所ビルはセキュリティーがしっかりしており、また機能的だ。役所が事務所ビルに入れば、役人の目線が庶民レベルに下がり、発想が豊かになる。また首都移転も楽だ。」と主張した学者がいた。自治体の建物にも当てはまる考え方だ。
静岡市と清水市が合併したときには、東静岡駅の近くに大きな市庁舎をつくることだけは避けたいものだ。ここは木を沢山植え、水の流れをつくり、心が慰められるような環境にしたいものだ。そうすれば最先端のソフトを開発するようなベンチャー企業が好んで立地する可能性がある。最先端の技術者は自然環境が豊かで文化的な環境を好むものだ。
ハイテクのベンチャー企業には訪問者が多く、彼らの多くはファッション感覚に優れているので、その周辺には気品のある街が形成されるだろう。ハイテクのベンチャー企業が増えれば、サッカー都市・清水の子供達がサッカーに親しむように、新合併都市の子供達はハイテク企業に親しみ、将来ハイテク企業を続々と起こすに違いない。合併は私たちに色々な夢を与えてくれる。