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7月21日
中国経済の急成長
日系企業最大のライバル
東アジアの産業は目覚ましい発展を遂げた。韓国は半導体、液晶、造船、鉄鋼などのハイテク製品や重工業で日本と肩を並べ、台湾は高級半導体やパソコン等のハイテク製品で世界のトップ水準になった。 アセアン諸国は家電、繊維、加工食品、雑貨等の産業における世界の生産基地に発展した。それは日本企業を始めとする海外企業の工場進出によるものであって、アセアン諸国の大型工業団地を訪れると、日系企業の工場が何処までも続いている。
多くの家電や繊維の日本企業は生産拠点をアセアン諸国に移し、そこから製品を日本に逆輸出したり、欧米諸国に直接に輸出したりしている。これから部品や材料をアセアン諸国で分業的に生産して、もっとコストを引き下げようと努力している。来年からアセアン諸国は、貿易の自由化や関税の引き下げが実施されるので、日系企業のアセアン諸国間の分業生産が可能になる。
ところが、こうした大きな構想に障害が現れた。それは中国の工業力の飛躍的な発展である。中国では、上海のように1人当たりの所得が一万ドルを超した大都市と、千ドルにも達しない農山村地域がある。
大都市周辺の高所得地域では、外国技術の導入によって、ハイテク機械の操作、大型工場の生産管理、品質管理、新製品開発等の技術が目覚ましく進歩し、韓国、台湾の水準に追いつきつつある。また北京や上海等の有名大学周辺には、OSソフトを開発できる世界的な企業が続々と設立されている。
低所得地域に住む数億の人々は、雇用を求めて続々と大都市周辺の工場に集まっている。彼らの賃金は日本の二十分の一ぐらいであって、ジャカルタにおける日系企業の賃金より低い。しかし、工業の生産管理や品質管理技術の水準が高いので、均質な製品を正確に納入できる。
中国製品は日本だけではなく、アジア市場ににあふれている。家電、時計、バイク等は、アセアン諸国で現地生産された日本企業の製品より品質が少し落ちるが、何と云っても価格は3割以上も安い。アセアン諸国の日系企業にとって最大の敵は中国企業である。中国では雇用が拡大して国内需要が膨張の一途を辿っている上、生産規模が拡大して国際競争力が強大になった。
日本は徹底した規制緩和を
こうした情勢に応じて、多くの日本企業は生産拠点をアセアン諸国から中国への移転を検討している。第一の狙いはアセアンよりはるかに巨大な中国市場への進出である。最近は中国の国営企業の競争力が強くなったので、それに対抗するために欧米企業と協力して進出する場合が増えた。第2の狙いは日本に逆輸出や、現地から欧米への直接輸出の増加である。それは中国の現地合弁企業は品質の均一性や納期の正確さの点で勝っているからだ。既に日本の企業一万二千社が中国に進出しているが、これからもっと増えそうだ。
アメリカの大学や研究機関には十万人を越える中国人のIT研究者や留学生がいる。彼らは続々と帰国してITの新会社を設立し、素晴らしい成果をあげている。日本の大手IT企業は、大型な研究所を北京大学の側に設立し、中国人によるソフトの開発を始めた。
日本経済の構造的危機の一因は、アセアン諸国や中国へ急スピードに工場が移転し、空洞化が進んだことにあった。中国経済は規制緩和とともに急成長して、規制緩和が遅れている日本経済を呑み込む勢いだ。小泉内閣による徹底した規制緩和が望まれる。