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12月22日
増えた道路公団民営化論者
活性化しない地方財政
新しい高速道路を望む世論が弱くなり、道路公団の民営化論者が増えた。その理由の1つは道路公団に対するやりきれない不信感が国民に広がったことだ。道路公団は高い費用をかけて豪華な道路をつくり、また道路の維持補修を高価格でファミリーの建設会社に発注している。
公団はサービス・エリアのレストラン、ガソリンスタンド等400社近いファミリー企業を抱え、それらの多くは高収益をあげている。しかし公団は施設の賃借料や権利金を引き上げて道路建設費に充てようとしない。道路建設は東名などの高収益道路の交通料金の引き上げと借入金の増加に頼っている。 中央官庁の役人が公団幹部に天下りし、また合計2000名近い公団のOBがファミリー企業の幹部になっている。公団とそのファミリー企業はあたかも高速道路関係の豊かな一生を保障する組織のようだ。
もう1つの理由は高速道路だけでは地方経済が活性化しないことだ。四国には3本も架橋ができたが、四国の経済や都市は少しも活性化するどころか弱体化した。例えば徳島や鳴門の人達は高速バスに乗って神戸・大阪へショッピングや遊びに出掛けるようになった。神戸・大阪の人は、品揃えが貧弱な徳島までわざわざ買い物に来てくれない。佐賀市・長崎市・熊本市は高速道路のお陰で福岡市との時間距離がぐっと近くなった。福岡市はショッピング、ライブ、演劇、スポーツ観戦等都市型レジャーが揃っているので、若者も中高年も福岡市に引きつけられ、福岡経済が一人勝ちの状態だ。
高速交通網は経済力が強い都市を一層繁栄させるものだ。新幹線網によって東京の商圏は拡大し、お台場・新宿・青山の他、最近では丸の内や汐留等に、関東、東海、信越から老若男女が続々と押し寄せている。地方の商店街は一層苦しくなった。かっては地方は地価が低く、豊富な労働力があったから、高速道路が完成すると、高速道路沿いに沢山の工場が立地したものだ。高速道路が大河川に近づくところでは、膨大な量の水を使う半導体の大工場が建設された。東名高速道路沿いには、機械、電子、薬品、化粧品、食料などの工場がベルト状に連なり、地域経済が見事に成長した。
国際空港が結節点に
しかし、現在では多くの工場は中国に移転している。地域の活性化のためには、中国の主要都市に直結している大型な国際空港と、国際空港を中心に広がる高速道路網が必要である。それは国際空港が内外の物流や人的交流の結節点になったからだ。
政府は政治家の圧力に押されて、道路公団に沢山の無駄な道路を造らせたので、高速道路の料金が上昇の一途を辿った。アクアラインの大型トラックの通行料は運転手の日給ぐらいになるから、ほとんどすべてのトラックは東京湾沿いの国道を走っている。本四架橋では自動車通行量が少なく、フェリーが繁盛している。「目も眩むほど立派な道路、高い料金、時々しか走らない自動車」というばかばかしい道路が多くなった。もしアクアラインが民間企業で運営されていたならば今頃は倒産し、会社は売られているだろう。その時には、1.5兆円の総資産は2000億円ぐらいに評価され、出資者と融資している金融機関が大きな損害を被る。しかしそれを買収した新会社は通行料金を1000円ぐらいに引き下げるだろうから、アクアラインは自動車で溢れるに違いない。
道路公団民営化委員会の5名の委員の「民営会社はまず40兆円の借入金を返し、同時に料金を値下げする。今後利益がでそうな道路と完成近い道路だけ建設する」「必要な高速道路は税金でつくる」という考え方が国民的に支持されるのは当然だ。