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4月14日
不良資産処理は慎重に
不況と金融不安発生の恐れ
銀行の膨大な不良資産が日本経済の癌だ。その裏側には企業の過大な銀行借入れがある。もし、この過剰借入れがなければ、企業は大規模な設備投資を実施できる。現在IT(情報技術)革命が凄まじいスピードで進行しており、どの企業も大型なIT投資を実施したい。また地価が下がったので、不動産業の企業にとって、大規模な都市開発投資を行う絶好の機会だ。こうした設備投資が増加すれば、日本経済は順調に発展するはずだ。
最近、政府・与党は銀行の不良資産を大規模に短期間で処理するという政策を発表した。まず過大な銀行借り入れをしている企業のうち、見込みがある企業については、銀行に債権の一部放棄させて再生させる。見込みがない企業については、銀行に担保を売却させて清算処理するというのである。
そうなると今後、つぎのような問題が起きそうだ。まず多くの銀行は債権の一部(実際には債権の大部分)を放棄するとき、その対象企業に厳しいリストラを迫る。また清算によって、多くの企業が消滅する。その結果、膨大な数の失業者が生まれ深刻な不況になる。
次に銀行は大きな損失を被る。債権の一部を放棄する上、企業清算の時、担保物件を売却するが、貸付金のほんの一部が回収されるだけだ。不良資産の処理は、銀行に巨額な損失を発生させ、多くの弱い銀行は経営危機に落ち込み、金融不安が発生する。
政府は、1997年から98年にかけて、同じ程度に手荒なハードランディング政策を実施し、金融危機を克服しようとして大失敗に終わった。その当時、現在と同じように政府は大きな財政赤字を抱え、すべての大手銀行は巨額な不良資産に苦しんでいた。橋本内閣はこの2つの問題を同時に解決しようとした。
消費税が引き上げられたので、景気は急速に下降し、財政赤字はさらに拡大した。この時、アメリカ政府は、日本に対して、市場原理を貫いて、不良資産の多い銀行は、それが大銀行であっても、倒産させるというハードランディングの政策を要求した。アメリカでは、その舌の根が乾かないうちに、金融の混乱を避けるために巨大なヘッジファンドの救済政策が実施された。
ビジョンと展望が不可欠
日本の少壮な経済学者や与党・野党の若い政治家達は、アメリカの主張を真に受け、正しいと信じた。政府は、不良資産の大きい拓銀、長銀、日債銀等の大銀行を市場の攻撃に曝して、倒産させてしまった。しかし、政府はその時、倒産銀行の資産・負債を引き継ぐ受け皿銀行を準備していなかった。
長銀の場合には、破綻後の処理について4ヶ月も政争の道具になり、経営基盤がボロボロにされた。最後に、資産10兆円の長銀がたった1200億円の価格でアメリカ系の投資ファンドに売られた。
長銀と深い取り引き関係にあったいくつかの企業は、メインバンクを失ったため、相次いで倒産した。これらの大型銀行の倒産とともに、地価が急速に低下し、金融のシステミック危機が発生し、日本経済は未曾有の深刻な不況に落ち込んだ。政府は、99年に慌てふためいて、巨額な公的金を投入して都市銀行を救済し、金融危機が深刻化するのを防いだ。
現在不良資産の処理に関する政府のハードランディング政策を支持する意見が多いが、、政府には銀行の不良資産処理とともに発生する膨大な失業への対策や、国民を安心させる日本経済に関する中長期的な政策ビジョンが準備されていない。また郵便貯金を含めた金融システムのあるべき姿についての展望もない。こうした状況でハードランディングな制作を実施するのは実に危ない。