- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
- 2009年
- 2008年
- 2007年
- 2006年
- 2005年
- 2004年
- 2003年
- 2002年
- 2001年以前
-
- テロ対策日本の役割 (12/15)
- 民間道路会社に期待するもの (11/29)
- 発展する中国経済
(11/19) - 「自治体は景観づくりを」
(10/29) - アフガン問題 日本の役割
(10/13) - 急務の銀行不良資産処理
(09/24) - 文化的な商店街づくり
(09/15) - 教科書問題と日韓関係
(09/09) - リストラ転職に受け皿を
(08/26) - アクセントのある政策
(08/11) - 日本経済に広がる不信と不安
(08/03) - 中国経済の急成長(07/21)
- 特殊法人の問題点(07/08)
- 「骨太」政策は「大変革」
(06/22) - ソーラン祭りと共同体意識(06/18)
- 道路特定財源と使途(06/02)
- 政治主導型に変った霞ヶ関
(05/13) - フリーターの増加
(04/28) - 不良資産処理は慎重に(04/14)
- 郵貯民営化は必要(03/31)
- ガケっぷちの日本経済(03/16)
- 米国の株式経済と景気動向(03/02)
- 夢与える市町村合併(02/05)
- 株安と今後の日本経済(01/24)
- 自己責任の決意必要(01/08)
- 公共投資より減税(12/21)
- 市場経済化する農家(12/12)
- 年配者雇用で活性化(11/25)
- 景気回復と物価下落(11/15)
- 時代は確かに動いている(11/04)
- パソコン学習の重要性(10/27)
- 日本的経営の崩壊(10/13)
- 公務員制度の変革(09/25)
- 新生銀行と貸付債務放棄(09/03)
- ゼロ金利政策の解除(08/12)
- メーンバンクの責任(07/27)
- 「変化」を悟れぬ不幸(07/18)
- 木を見て森を見ない施策(07/03)
- 商店街の原点
3月16日
ガケっぷちの日本経済
IT投資で企業合理化
日本経済はいよいよガケっぷちまで追い込まれた。一刻も早く、日本経済に溜まっている膿を出し、企業が自由に活動できるような環境を整えなければならない。誰でもこのことを知っているが、それを実施するとき、発生するだろう大量の出血を恐れて、ずっと避けてきた。
銀行は依然として膨大な不良資産を抱え、経済活動の血液といえる資金を潤沢に供給する能力を失った。悪いことに、最近の地価の下落と株価の暴落によって、銀行の不良資産はさらに増えた。銀行が立ち直るためには、不良資産を直接償却して、一挙に膿を出すことが必要だ。
ところが、不良資産を直接償却すると、かなりの銀行は赤字決算を続け、また資本不足に落ち込む可能性がある。来年4月から、1000万円以上の預金は保証されない。大口預金者はそういう危ない銀行から預金を移動するので、金融危機が発生するかもしれない。
また不良資産の直接償却は、借入金を返済できない企業に倒産を宣言することを意味している。幾つかの企業が倒産すると、関連企業が連鎖倒産する可能性がある。大手企業が倒産すると、連鎖倒産の規模が大きくなる。不良資産の直接償却が進むとともに、担保に入っている多くの土地が売却されるから、地価が一層下がり、銀行の不良資産がさらに膨張する可能性がある。また失業者数が増大して、個人消費は減少し、経済はスパイラルな下降過程に落ち込むだろう。
これを防ぐためには、投資を刺激することが必要だ。幸いにも、企業はIT関連設備に対して強い投資意欲を持っている。しかしIT投資が最も効果を上げているのは企業活動の合理化だ。
例えば、企業はIT技術を利用して、販売店の売り上げデーターと工場の生産データーとを常に統一的に把握し、最終の販売動向に合わせて生産し、製品は工場から販売店に直送される。これによって、在庫と倉庫が減り、在庫資金が減少し、卸売りが中抜きされる。それと同時に過剰になった従業員が整理される。つまりIT投資は、失業を増大させるという機能を持っている。
国家システム再検討必要
このままの状態で、日本経済から膿を取り去り、また投資を刺激すると、直ちに深刻な失業問題が発生する可能性が大きい。しかしITによって、生産が効率化すれば、物価が下がり、国民の生活がそれだけ楽になるから、新しい消費が伸びるはずだ。例えば生活のIT化が始まり、携帯電話を使って、自宅の風呂や炊飯器に点火するようになる。またデジタル・テレビが急速に伸びるだろう。
もし、倒産した企業の従業員や、IT投資によって過剰になった従業員が、IT関連の技術を身につけていれば、このような新たに需要が増加する産業で働けるはずだ。若年層、高年齢層とも失業者が激増しているが、人手不足に苦しんでいる分野もある。例えばコンピューター・プログラマーやコンピューター・ソフトの制作者は非常に不足しており、引っ張りだこだ。
しかし、現在の教育システムは、経済や社会が必要とする人材を育成してくれない。また社会人を再教育するシステムもない。多くの大学では実用に役立たない古い知識を教えるだけだ。どうも日本経済の問題は、経済以外のところにもあるように思われる。国家のシステム全体の再検討が必要だ。