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3月31日
郵貯民営化は必要
膨大な資金、無駄に投資
日本経済の構造改革には、郵便貯金事業の民営化が必要だ。郵便貯金は総額260兆円に達しており、全国の銀行預金の50%以上を占める巨大な国営銀行である。こんな巨大な国営銀行は世界に例をみない。
郵便貯金で集まったお金は、預金金利よりも高い金利で、政府に預けられ、政府がそれを財政投融資に使っている。その投入先には、日本道路公団、本州四国連絡橋公団、石油公団、都市基盤整備公団、国立病院特別会計、国有林事業を始めとする膨大な赤字をかかえている国営企業群や、赤字に苦しむ地方自治体である。
国営事業や自治体事業には、民間企業のような企業会計がなく、どんぶり勘定で会計処理されているので、実際に赤字がどれくらいの大きさであるのか、誰にも判らない。例えば、高速道路の資産価値は建設費がそのままずっと計上されている。工業用地が、民間や国営の銀行から融資をうけて開発され、売れ残ると、その地価は、毎年、支払うべき金利を上乗せした価格に変えられるから、実は膨大な損失が発生しているにも拘わらず、損失ゼロで決算されている場合が多い。
郵便貯金は、経営内容が判らないこのような特殊法人等に投融資されているので、どの程度が不良資産になっているのか不明であるが、投融資額の30%は達しているという説が有力だ。
郵便貯金は、国営であるから、法人税、預金保険料、準備預金等が免除され、それだけコストが低くなっているので、預金金利を民間銀行より高くすることが出来る。その上、元利金が保証されているので、経営不安な民間銀行との競争に勝ち、膨大な預金を集めることができた。その膨大な資金は、国営企業や地方自治体によって、無駄な巨大ハコモノの建設や無駄な投資に使われた。その結果、かって強かった日本経済は、今や非効率で弱い経済に変ってしまった。
経済改革へ論争深めよ
郵便貯金は2003年度に公社化され、資金は自主的に運用されるようになる。しかし、今まで政府の要求通りに資金を運用してきた公務員が、内外のプロの金融マンとの競争に勝てるだけのノウハウを蓄積できるだろうか。金融マンは資金運用に失敗すれば、確実に責任を取らされるが、公務員のポストは安全である。そうした公務員が資金運用で優れた成果をあげられるかどうか極めて疑問だ。
郵便貯金の中心商品は10年間金利が固定し、半年経過後に解約自由という定額預金だ。預金者は、金利が高い時の預金をずっと預けたままにするだろう。相当に腕利きのファンド・マネージャーでなければ、長期間にわたって高金利を支払えるだけの利益を稼ぎ出せない。そうなると、郵便貯金公社は、資金を長期国債や長期の財投債の購入に運用し、高金利の時期に買った国債をずっと持ち続けるだろう。公社が資金を国債や財投債の運用に向けると、現在の経営と少しも変わらないことになる。
政治家は、郵便貯金が国営のままの方が政治力を発揮しやすい。それは郵便局関係者の集票機能を利用できるという理由だけではない。郵便貯金で集めた資金を、国営企業や地方自治体等を通じて、無駄なハコモノつくりに投入出来れば、建設業者を始めとする強力な集票能力を備えた組織から広い支持を受けることができる。
郵政事業の民営化が自民党内の争点になっているが、それは日本経済の構造改革や利益誘導型政治の消滅に繋がるから、論争をもっと深めることが必要だ。