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4月28日
フリーターの増加
チャンス待ちつづける若者
24時間営業のコンビニ、ファミリーレストラン、ファーストフード等最近の成長産業を支えてきたのは、若者のアルバイトだ。アルバイトで生計を立てている人は、フリーターと呼ばれており、その数は150万人に達している。フリーターには悩める若者が多い。
フリーターにはつぎのような人がいる。第一に、才能やセンスを生かせる職業に就きたいと思っている人達だ。豊かな社会になると、分業が進み、例えば住宅の内装についてもいえば、色調を考えるカラーリストやインテリアの組み合わせを考えるインテリア・コーディネーターと云うような多様な「カタカナ職業」が生まれる。
「カタカナ職業」を目指す人のために、インテリア学科、スタイリスト学科、広告写真学科等、細かい学科をもつ専門学校が増えた。
ところが、「カタカナ職業」の希望者が多く、専門学校で少し学んだぐらいで、簡単になれるわけではない。しかしセンスに自信がある若者達はアルバイトをしながら、チャンスを待ち続けている。
第2に、世の中の多様な職業のなかで、どれを選択していいか判らないので、とりあえずアルバイトをしながら、社会を眺めてみようという人だ。一旦会社に勤めたが退職し、フリーター生活をしながら、気に入る仕事を探している人もいる。第3に趣味を生かした生活をしたいために、組織や時間に縛られないフリーターを選択した人である。
ところでフリーターの賃金は安い。8時間労働で一ヶ月働いたとしても13万円位にしかならない。単純労働であるから、何年働いても技能が向上するわけではないので、30才になっても学生アルバイトと変わらない賃金しか貰えない。そうなると長時間働かざるをえないので、夢を達成するために努力したり、あるいは趣味に生きたりする余裕がなくなってしまう。
多くのフリーターは親と同居して生活費を節約している。彼らの婚期は遅れ、少子化傾向を加速している。30才近くのフリーターは正社員になることを強く望んでいるそうだ。
コンビニ、ファミリーレストラン、ファーストフード等のフリーターが多い業種では、価格引き下げ競争が展開されている。その皺はフリーターの労働条件の引き下げに寄せられている。
日本経済の損失でもある
フリーターには、才能や働く意欲に燃えている人が少なくない。しかし彼らは技能を研き、才能を伸ばすべき年齢の時に、単純な仕事に体力と時間を消耗して、将来の可能性を押しつぶしている。それは本人だけではなく、日本経済の損失でもある。
学校教育は受験教育に偏重して、実務教育を疎かにしており、成熟段階の経済が要求するレベルが高い実務知識や技能を教えてくれない。また学校ではボランティア活動の機会がなく、実社会に接する機会が少ない。その上に学生が長い期間にわたって企業で働くアメリカのインターンシップのようなシステムがない。そのため学生には、自分に適した企業や仕事をじっくり選ぶ機会や時間がない。またセンスだけを生かし、或いは趣味だけを求めて、生計を立てるのは如何に難しいかが実感として理解できない。
こうした教育の欠陥を突いて、低賃金で良質の労働力を利用し、見事に成長し、流通サービス業に革命を起こしたたのが、コンビニやファーストフード等の業種である。素晴らしい経済的な出来事の裏に、必ず悲しい話があるものだ。フリーターの増加は若者達が身体をはって教育制度の欠陥に激しく抗議しているよう思える。