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8月11日
アクセントのある政策
国債発行額の圧縮を
不況は需要不足によって生まれるという説と、供給面に問題があるから発生するという説がある。今までの政府は需要不足説に立って、専ら財政支出を拡大して、需要を喚起してきた。
しかし、財政支出の内容は地方の道路建設等無駄なものが多かった。その結果、経済の効率は少しも向上せず、景気に浮揚力がつかなかった。国債残高が膨張の一途を辿り、日本経済は深刻な危機が続いている。
小泉内閣は、供給面に問題があると考えて、いろいろな規制を撤廃し、また特殊法人等の国有企業を民営化し、さらに地方の発意を生かすために地方分権を進めようとしている。多くの地域で活力が生まれ、民間企業が続々と成長分野に進出するはずだ。それとともに設備投資や雇用が増加する。経済が活性化し、効果が向上すれば、海外のハイテク企業が日本に進出し、日本経済は再び成長路線に乗るはずだ。
また小泉内閣は、日本経済から膨大な負の遺産を一挙に切り落とすため、銀行の不良資産を短期間で処理することにした。また来年度予算では、無駄な財政支出を五兆円カットし、IT、都市開発、環境、教育、少子化等、将来の経済成長を刺激する支出を二兆円増やすという。それによって、国債発行高を三〇兆円以下に押さえられる。国債発行高が大きすぎるため、最近、国債の流通市場が低下して、長期金利を押し上げている。国債発行額は是非とも圧縮しなければならない。
ところで、銀行の不良資産処理とともに、借入金を返せない企業が沢山倒産する。財政支出カットによって、旧いタイプの財政依存型企業の危機になる。建設業等では膨大な数の失業者が発生するに違いない。
働く意欲を持っている人が大勢失業するのは、国民経済的にみて大損失であるから、彼らの働く場所をすぐに用意しなければならない。小泉内閣は、規制緩和とともに介護や育児、都市開発、IT等の分野で、膨大な需要が発生し、新しい職場が生まれると期待している。
しかし、とにかく政府の機能を減らせばいいという訳ではない。政府が積極的に介入し、取り締まりを強化すれば、雇用機会と社会的厚生が増大するという分野も少なくない。その一つは産業廃棄物処理である。産業廃棄物の不法投棄を厳しく規制すれば、処理業者はマーケットが拡がり成長し、廃棄物のリサイクル、燃料としての利用、無害な状態にして埋めること等が実施され、環境が守られる。
介入すべきは徹底介入
廃棄物処理にはコストがかかるので、廃棄物発生者は不法投棄を好む。警察は暴走族と不法投棄業者には、恐れを抱いて、なかなか手出しない。もしすべての産業廃棄物が廃棄専門業者によって処理されれば、処理業者の利益が増大して、新しい処理技術が開発され、処理設備の投資が起こり、処理工場の労働環境が向上するに違いない。処理関連産業では、かなりの数の雇用が発生するだろう。
また役人の数を増やすべき分野もある。公正取引委員会は企業の取引を全国にわたって、厳しく監視し、談合入札などをどしどし摘発すべきだ。そうすれば、公共事業費等はかなり節約できる。証券市場の管理体制をもっと厳しくすべきである。証券市場の信頼性が高まれば、個人客は株式投資を増やすだろう。こうした監視のためには、両方で調査員を7000人ぐらい増やす必要がある。
政府が退くべき分野では退き、介入すべきところではもっと介入し、また必要な分野は役人を増やすといったアクセントのある政策が望まれるのである。