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3月24日
震災復興の特別税と特別基金
「はんしんを」を上回る被害
東北関東大震災の被害は、阪神淡路地震を大きく上回りそうだ。まず、被害地の面積が遙かに大きく、津波とともに消えた街や集落が多い。犠牲者は3倍近い。
第2に自動車部品、電子部品 特殊な素材等の工場が被害を受けたので極端な品不足に落ち込み、日本全国にわって自動車、携帯電話、建設機械等の大型工場が止まった。
第3に、漁業、農業、小売り、役所など、すべての経済分野で、働き手も設備も消え、経済活動が不能になった地域が少なくない。
第4に福島原子力発電所が災害を受け、放射線被害が発生した。幸い冷却機能を回復できたとしても、福島・原発から20キロ四方の土地は既に放射能汚染されており、長期間使えない。土地も地域社会も消えたと同じである。
また、この事故によって、東電の発電能力が大巾に低下したから、東電管内では夏期に電力不足に落ち込むだろう。
第5に、被災地では多数の金融機関が経営危機に直面している。それは融資先企業の多くが震災を受けたので、貸し付け債権の回収が困難になっているからだ。そのため経営力が弱まり、再建資金を融資する力がない。
阪神淡路大震災の被害総額が10兆円だったが、東北関東大震災では20兆円を遙かに超えそうだ。両地震の被害地の経済規模はほぼ同じであるから、今回の地震では復興の負担がはるかに大きい。
そのため、震災再建には巨額な資金が必要になる。現在の国家財政のもとでは、赤字国債の発行によって救済資金を創るわけにはいかない。国債がさらに増えれば、間もなく国債を国際市場で発行せざるを得なくなる。その時には国債価格の変動が激しくなり、日本経済は非常に不安定になる。震災の再建のためには新しい資金調達の仕組みが必要だ。
今回の災害では日本国民の強さが発揮された。2200箇所の避難所に集まった人達は、肉親を失った悲しさを押し殺し、寒さや飢えを忍び、水不足や停電の生活に耐え、助け合って共同生活を続けた。市役所や町役場の職員は、家族が行方不明であっても、避難した人を守る仕事に打ち込んだ。
原発事故のために避難する人達は、「津波の災害地の人のことを思えば、文句を言えない」と諦め、整然とバスに乗った。
消防庁、自衛隊、東電職員は何日も帰宅せずに、被曝の危険を犯して、決死の覚悟で発電炉に海水を注入し、冷却装置に電源を繋ごうとした。瞬く間に、全国から義捐金や支援物資が集まり、ボランティアが活躍した。
再建へ国民も負担甘受
私は、コミュニティー意識が消え、助け合う心が失われ、日本は砂のような社会になったと嘆いていたが、実際には、黙々と困苦に耐え、黙って人を救う人が、大勢いる粘土のような社会であることが判った。
そういう社会であれば、2%の震災消費税を3年間実施して、7兆円を超える復興援助資金を創ることが可能だろう。これは震災復興支援のためだけに使われるのだ。
また、復興支援基金も創れるはずだ。その基金は政府保証の低利債券を発行し、集まった資金は、政府金融機関に貸し付けられる。また、地方の金融機関に対して、代理貸し付け制度を設ける。政府金融機関は国家的ビジョンに基づいた復興資金を、地方の金融機関は地域の再建資金をそれぞれ潤沢に供給するのである。それらは長期・低利な資金であるべきだ。国民は震災地の人々に同情し、また日本経済の危機を知っているから、震災消費税を受け入れ、復興支援債券を買うに違いない。
日本が震災の打撃から迅速に立ち直れれば、国際的評価が高まり、一等国の地位を回復することが出来る。