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4月4日
二世議員と秘書の関係
ロイヤルティーと一体感
二世の国会議員が多くなった。その理由を経済的な観点から考えると、第一に政治家に適したDNAを持っている可能性が大きい。第二に若いときから父親や支持者の行動を見ている。時には父親の選挙運動を手伝うだろう。彼は若いときから、政治家としての能力を「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」している。第三に親のおかげで名前が浸透し、「ブランド力」が強い。
最後に10名前後のしっかりした秘書陣がいる。彼らの仕事は、議員の行動プラン作り、選挙区における冠婚葬祭や関連する業界の大会への代理出席、選挙区民からの陳情の受付や斡旋、国政報告会などの日常的な「営業活動」と選挙の時の運動だ。2代にわたる議員のお陰で彼らの生活は安定し、また秘書として長期間勤めた結果能力が向上した。しかし秘書陣の活動の幅の大きさや深さを決めているのは、公共事業を選挙区に誘導する議員の政治力である。
秘書陣の役割はそこから生まれた企業や既得権益者の利益を票に結びつけることだ。もし議員が強い政治的勢力を持ち、地元に大きな公共事業を次々に誘導することに成功すれば、秘書の立場は強くなり、利益を得た企業や業界団体から多くの選挙資金を獲得できる。筆頭秘書は次第に力を持ち、加藤紘一氏や鹿野道彦氏の元秘書のように私服を肥やすことが出来る。
とにかく議員が政治的に強くなれば秘書は色々なことがやりやすくなる。選挙民との関係が深くなって、地域への影響力が増せば、次の代の議員になれるかもしれない。秘書はサラリーマンが勤務先企業に対して持つのと同じように、議員と事務所に対して強いロイヤリティーと一体感を持っている。議員は彼らのロイヤリティーを高めるために、多くの場合年功型の賃金体系にしてある。
ところで三人の公設秘書には国から賃金が支払われ、衆議院議員一人当たり、約3000万円の賃金が支払われている計算にになる。二世議員は地盤・秘書陣の継承の他に、三人の秘書に高額な賃金をもらえるので、選挙では新人との競争が非常に有利になる。政策秘書は議員立法等に備えて、議員を知的支援する目的でつくられたが、共産党を除くと、ほとんどすべての政策秘書は普通の秘書の仕事をしているらしい。二世議員は政策秘書には古手の秘書を任命し、国から支払われる給与の一部を議員の政治団体への献金するという合法的な形式をとりながら、実質的には事務所の年功型賃金体系に沿うような形で他の秘書に配分して、政策秘書の制度を上手く利用している。
現状は連続当選に有利
弱い議員の秘書は、議員が落選すれば職を失うので、パートタイマーのような気持ちであって、とても強いロイヤリティーを持って働けない。弱い議員のなかには、政策秘書の賃金を辻本さんのように「ワークシェアリング」という詭弁を使ってピンハネした人が多いという。それによって秘書陣の賃金を増やして、少しでもロイヤリティーを高めたいのである。
日本共産党は強力な組織体であるから、すべての議員秘書は本部職員の「出向者」であり、その賃金は本部の賃金体系に応じて支払われている。共産党は政策秘書の賃金を堂々とピンハネしているのである。
もしこれから政治・行政改革が進めば、公共事業が減るので、自民党の2世議員の力は落ちてくるだろう。しかし2世議員は政策秘書問題をみても、ほとんど傷つかなかった。現状は色々な点で彼らの連続当選に有利にできている。彼らの多くは政治・行政改革の意志がないのは当然だろう。