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9月8日
不可解な「上下分離方式」
最終的には通行料金に転嫁
道路関係4公団民営化推進委員会では中間報告案を纏めた。委員会で激しく議論された問題の1つは国民負担だった。報告案では、道路4公団の資産と債務を受け継ぐ「保有機構」と、高速道路を建設・運営する「民営道路会社」の2つに分ける上下分離方式を採用した。
「民営道路会社」は「保有機構」に利用している道路のリース料を50年間払い続けると、「保有機構」は4公団から継承した借金40兆円を返却できるようになる。これによって、4公団の借金は国民負担なしで消滅するという。
しかしどうも変だ。確かにこの案では税金は使われていない。しかし国民は高い高速道路料金を払い続けるのである。トラック業者が支払う通行料金は、最終的には必ず価格に転嫁され、国民がそれだけ高くなった消費財を買わされることになる。ドライブをしても、団体バス旅行をしても、その分だけ確実に費用がかかる。政府が何を造っても、その負担は必ず国民にかかるものだ。
もし、本四連絡橋公団がそのまま民営化されたならば大変だ。借金が4兆円近くあり、利払いだけで毎年1400億円にもなる。これに対して、年間収益はたった900億円だ。今後四国経済が飛躍的に発展して、交通量が激増するとは思われないから、絶対に借金を返せない。ではどうしたらよいだろうか。もっとも楽なやり方は通行量が多く、採算が良い地域と合体させることだ。
東名、名神、阪神、山陽、本四・四国縦貫の道路で1つの会社を作る案が有力だ。そうなると、確かに国家財政に負担がかからないが、それに変わって、この無謀な長大橋の膨大な負債はまず東名・名神の利用者にしわ寄せされる。
道路公団が建設した高速道路40路線のうち、27路線が赤字である。それらの負担がすべて優良黒字路線の利用者にしわ寄せされたならば、優良路線は借金を返すための存在になって、地域の経済を発展させるための前向きの高速道路投資ができない。東京都内まで連結した第2東名道路は、日本の経済活動の中軸を担う地域を結ぶので、重要な道路であるが、このような体制のもとでは、強力な政治的な力が加わらなければ、永遠にできない。
税金投入と責任は表裏関係
もし東名や名神が上下2つの会社に分離されず、道路資産を持った民間会社に変わったならば、政治の影響を受ける心配がない立派な企業になるはずだ。この会社は道路建設・維持補修を公団よりも20%以上安く仕上げるだろう。その上、サービスエリアの利益を連結するだろうから、確実に大きな利益を上げることができる。そうなると、第2東名の建設資金を内外の証券市場や金融市場で集めることができるだろう。
本四連絡橋のような無駄な構造物は税金を投入して償却すべきだろう。その際、この無謀な計画を立て、国家プロジェクトにしあげた人達の責任を追及することが必要だ。現地の大物政治家が所轄官庁の役人を動かし、地元の関連企業が激しい誘致運動を行ったに違いない。税金投入と責任追及とは表裏の関係にある。
こうした人達の対する責任追及を放棄して、借金の返済を太平洋ベルト地帯の企業や住民に肩代わりさせて、国民負担なしで債務を返済でき、かつ無駄な高速道路建設に歯止めをかけたという主張している委員がいるが、どう考えても変だ。