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6月15日
行財政改革の好機到来
長続きしない景気上昇
昨年の秋から今年初めにかけて製造業では幾らか出荷が増え、在庫が減り、生産が増え始めた。1~3月のGNPは前期比で大幅なプラスになり、景気は、これからしばらくの間、順調に上昇しそうだ。
景気上昇の要因は輸出の増大だ。アメリカ経済は金融緩和政策の効果が現れ、力強い景気回復を続けている。最近2年間で短期金利は6%から2%以下に下がり、消費者物価の年間上昇率よりも低くなった。実質金利はマイナスだ。金利に敏感な住宅需要が盛り上がった。過去10年で移民数は年間100人を越しており、膨大な住宅需要が刺激された。
また高金利の住宅ローンを借りている人は、低金利ローンに乗り換え、浮いた資金を自動車の購入に向けた。日本から自動車や鉄鋼などの輸出が急増した。東アジアへの輸出も伸びた。中国は内需が強い国であり、韓国は7%の成長を始めたので、素材や電子部品の輸出が増大した。
日本の製造業では企業のリストラが進み、従業員数は限界まで削減され、余分な設備は売却・廃棄された。企業は身軽になり、コストが低下し、売り上げが伸びなくても利益が生まれる体質に変わった。そうしたとき 輸出の拡大によって操業率が上がったので、経営が楽になった。
しかし景気上昇は長続きしないだろう。アメリカ経済には個人の借金が多すぎるという深刻な問題がある。個人の負債総額が年間収入に占める比率は80年の60%から現在では100%に増加した。今後景気上昇にともなう輸入の拡大によって、貿易収支の赤字が膨張して円高・ドル安になり、ついで金利が上昇すると個人の金利負担がぐっと重くなって消費や住宅投資が低迷しそうだ。産業の一層のIT化とともに人減らしが進むので、失業が増え、消費にはマイナスに働くかもしれない。輸出の伸びは間もなく止まりそうだ。
中国経済には勢いがあるが、競争が激しくなり、国有企業が不振であって、銀行の不良資産比率は40%に達している。金融機能の不安が大きくなっている。韓国はアメリカの景気が悪化すると大きな影響を受ける。
つぎに日本経済を見ると景気の自立的上昇力がほとんどない。まず企業は銀行借入が多すぎる。もっと身軽になるため、増大した利益を借入返済に向けので設備投資が増えない。銀行は不良資産の増加を恐れて中小企業に対する融資を押さえるから、景気上昇をリードすべき中小企業の設備投資が起きない。
不良資産問題を解決
銀行は景気が回復して資金需要が増加するや否や、貸付金利を大幅に引き上げる。それは銀行が極端に少なくなった自己資本を増やして経営危機を克服するためだ。金利が上昇すると企業の設備投資は減少し、景気は悪化する。
こうして考えると日本の景気上昇は短期で終わりそうだ。日本経済が力強い景気浮揚力を備えるためには、銀行の不良資産問題を解決し、また本格的な行財政改革を実施して無駄な投資や支出をなくすことが必要だ。
銀行の不良資産問題を解決するときには、さらに多くの企業や中小金融機関が倒産するだろう。大規模な行財政改革では人員整理の大なたが振われるはずだ。景気上昇期には雇用が増大しているので、こうした改革のチャンスだ。出血を少なくするためには法人税減税、設備の加速度償却、株式投資減税など経済活性化のための税制改革が必要だ。
景気上昇は短期間で終わりそうだから、改革が急がれる。小泉内閣は様々な抵抗勢力と断固として戦い、「米百俵政策」を実施すべき絶好のタイミングが来た。