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5月9日
郵便事業民営化の条件
独占状態続けば弊害も
民間企業が郵便事業に参入可能になる「信書便法案」が4月26日に閣議決定され、これから国会で激しく議論される。民間企業が郵便事業に加われば、値下げ競争やサービス競争が起きるから、国民は大きなメリットが得られる。小泉首相は郵便、貯金、保険の郵政3事業の民営化に政治生命を賭けている。郵便事業への民間企業の参入は、3事業民営化のための条件作りの重要な1歩である。
ヤマト運輸はかねてから郵便事業に強い関心を持っていたので、参入第1号企業になると思われていたが、見送りを決定して世間を驚かせた。その理由は次の点にあった。まず総務庁が民間企業の参入と事業計画を認可することであり、次に10万個のポスト整備、週6回の集配、全国均一料金等の条件が付けられているためだ。
総務庁は郵便局の親官庁であるから、郵便局が競争に負けないように応援するに違いない。また、例えば週3回の集配と安い料金とを組み合わせるといった戦略がたてられない。ヤマト運輸は携帯電話、eメール、宅配便などが普及しているので、郵便を特別扱いにして厳しく監視するのはおかしいという。全面的な自由化を要求しているのである。
国鉄や電電公社は民営化された結果、経営効率とサービスがめざましく向上した。しかし民営化しても独占状態が続くと弊害が発生するものだ。NTTは電話回線を独占していたために、日本はインターネットの普及が遅れ、インターネット後進国になった。それは,光ファイバー網の施設には時間がかかるため、世界の主要国ではブロードバンドがADSLに向かっていたにも拘わらず、NTTはISDNから光ファイバーに発展するという考え方に固執したからだ。ISDNの通信速度が遅いのに、NTTは通常料金を請求したので、インターネット利用料金が高くなり、利用者が増えなかった。
幸い多くの企業がケーブルや電線を利用してADSLや24時間接続のサービスを開始し、激しい値引き競争を展開した。その結果日本のインターネットは急速に普及して先進国の仲間入りができた。また携帯電話で激しい技術開発競争が展開され、NTTドコモとKDDIは第3世代で世界のトップを争っている。もし技術進歩が無く、NTTによる通信回線の独占状態が続いたならば、日本はデータ通信の後進国になっていただろう。
参入企業増加が不可欠
国鉄は分割・民間化されたが、輸送がJRによって独占されている地域がある。民間企業であるから、独占状態を利用して収益を拡大しようとするので、その地域住民はその分だけ損をする。県内で考えてみよう
JR東海はこだまのグリーン回数券を自動販売機で販売して、グリーンの乗客を増やそうとしている。しかし小田原・浜松間、静岡・浜松間だけグリーン回数券がない。浜松の高速道路インターは市の中心から遠く離れているので、年輩の人や忙しくて疲れている人は普通のグリーン券で新幹線に乗るはずだ。割引回数券を販売する必要がない。
また沼津・浜松間の在来線の車両は豊橋・名古屋間のそれより古いのは、きっと競争する私鉄がないからだろう。JR東海は静岡空港の真下に新幹線の駅を作るという構想に反対している。その一つの理由はもし空港駅が完成して便利になり航空客が増えれば、静岡・福岡間、静岡・成田間などの鉄道乗客が減るためだという。
独占的企業はその状態を長く維持し、それを利用して稼ごうとするものだ。これから特殊法人が民営化する時、参入企業を増加させて独占状態を崩すことが必要だ。幸いにも「信書便法案」が国会を通過したならば、柔軟な運用によって多くの企業が参入できるようにしたいものだ。