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2002年
文化都市、東京に学ぶべきもの
世界の頭脳の結集可能
東京の中心部では、高層マンションが続々と建設されている。それらの価格はバブル期の五分の一になり、さらりーまんでもかえるようになったので人気が高い。東京の中心部はパリやニューヨークのような職住近接の生活しやすい地域に変わりつつある。
お台場や恵比寿は高級な高層住宅地になり、そこの住民はソフトウエアの開発者、デザイナー、金融証券、広告・テレビ等の華々しい職業やベンチャー企業の幹部などであって、彼らの服装や生活様式が洒落ているので、辺りに文化的な雰囲気が感ぜられる。そこには中年のカップルが食事を楽しみにやってくるし、また若者が最新のファッションに憧れて東京周辺から集まる新観光地になった。
銀座や赤坂には、フランスやイタリアの有名ブランド企業の直営店が軒を連ね、素晴らしい高級品店街ができた。東京は世界の都市で、美術館、音楽ホール、劇場等の文化施設が最も多く、また世界中の料理が食べるられ都市だ。住民の都心回帰が進めば、山手線沿線とその内側全体がパリやニューヨークのような職住近接の文化的な美しい街になりそうだ。
ところで、日本の伝統的な製造業は空洞化によって衰退し、またコンピューター・ソフト、バイオ、金融工学などの最先端技術分野ではアメリカとの開発力格差が拡大した。アメリカが、先端技術産業や映画・音楽・社会科学の文化産業で飛び抜けて強いのは、中国人・ユダヤ人・ロシヤ人等世界から優れた頭脳を集めているからだ。
世界の頭脳は発達している先端技術産業や文化産業と業績に応じた所得に惹かれてアメリカの都市に集ってくる。日本がそういう先端技術産業で競争力を強めるためには、海外の頭脳を利用することが必要だ。
東京は世界の多様な芸術を楽しめる上に、美しい街並みが拡がってきた。業績が金銭的に報いられば、優れた頭脳が東京に来るに違いない。彼らが成功すれば、知的刺激を求めてもっと多くの優れた頭脳が東京に来るだろう。バブル経済前までは、世界に対する先端技術情報の発信が日本の国際的地位を高めるために重要だったが、現在では、経済の力がすっかり弱くなったので、世界の頭脳を集め、また世界の先端情報を吸収して経済を活性化することが重要になった。まるでそれに答えるように東京は機能的な文化都市になってきた。
地方都市も機能拡充を
地方都市をみると、文化施設は拡充したがまだ文化都市としての機能が弱い。例えば、静岡市周辺をみると、マレーシアとほぼ同じの経済規模の県の県庁所在地でありながら、部屋で食事や仕事が出来る都市型ホテルがない。またパソコンが使いにくい上に、テレビのチャンネルがすくないので、その日の海外情報がつかみにくい。アジアの大都市のホテルより劣っている。県下にはハイテク産業の分厚い集積がり、大学・研究所が存在し、海外と頻繁な人的交流が必要であるにも拘わらず、国際空港がないので、海外の頭脳は東京までは来るが、静岡には足を伸ばして貰えない。
静岡・清水の合併では、行政コストの引き下げの他に、80万都市という文化都市に成りうる人口規模に達したときに、いかにしてそれを実現するかの政策議論が重要だ。日本経済はすっかり弱くなっているから、単に合併しただけでは、東京の文化力に敗れ、新都市の発展は望めない。
なお、新都市の名前については、文化都市らしく歴史家や社会心理学者等の英知を集めて決めたい。西東京市、北九州市、さいたま市のように、いかにも政治的配慮だけで決まった気品を欠く名前だけは避けたものだ。