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2002年
静清合併 新都市の目標づくり
ハイテク産業栄える基盤
どんな組織でもメンバーがはっきりした目標を共有した時すばらしい成果が上がるものだ。静岡・清水が合併を契機として大きく発展するためには、はっきりした新都市の目標をつくり、市民のコンセンサスを結集することが必要だ。
日本経済は、人口がますます老齢化し、また多くの産業が中国をはじめとする海外に工場移転するので、成長力が衰える一方だ。当然のことながら、日本経済も地方経済も、このマイナスをカバーするためにハイテク産業を育成しなければならない。合併新都市の目標はハイテク産業の発展による文化的生活の実現だろう。
幸いにも、静岡・清水にはハイテク産業が栄える基盤がある。まず両都市には世界のトップ水準の技術をもった企業が10社近くある上に、静大、県大、常葉大、東海大等の大学に恵まれている。静岡大学は規模が大きく、近く独立法人化するので、教員の企業的活動が活発になるはずだ。県大も地域産業のハイテク化に活躍するだろう。
大学が雑務をアウトソーシングし、学内の事務を効率化すれば、教員が研究に没頭し、ハイテク技術の開発力が向上するだろう。文化系大学でもソフトウエアの開発力を備えているはずだ。浜松は機械工業と結合したハイテク技術の水準が世界のトップ水準にある地域であり、優秀な大学が立地しているので、共同研究によって、確実に新技術が開発されるだろう。
世界の文化都市には優れた大学と美しい環境がある。両市の中間にある東静岡駅周辺に豊かな緑や水辺がつくられ、その中にインテリジェント化された低層ビル群が点在するようにしたいものだ。ソフトウエアー開発などのベンチャービジネスが大学との技術協力によって次々に設立され、このビルに居を構える。静大や県大に向かう道路沿いに、品のいい瀟洒な低層ホテル、レストラン、喫茶店、画廊、書店などが並び、文化的雰囲気が溢れる地域になれば素晴らしい。
そうした地域を造るためには、まず低層ビルの賃借料を低くしなければならない。賃貸料の出世払いという制度も必要だろう。また全国から才能ある研究者が喜んで来るような社会的環境が必要だ。若い研究者は共稼ぎが多いから、低価格でサービスが行き届いた託児所、充実した小児科をもつ病院、診療内容をディスクロージャーする市立病院、レベルの高い教育を実施する小・中学校が必要だろう。若い研究者の多くが東京の中央部に住んでいるのは、勤務先に近い上、託児所や医療施設が整っているからだ。
生活環境の充実が必要
東京や世界との時間距離が短い都市はハイテク情報の流れが速く、ハイテク産業が成長しやすい。そのためには、どうしても静岡駅に多くの「ひかり」が止まり、さらに静岡空港と静岡駅が「こだま」で連絡できるようにすべきである。将来、新幹線の静岡駅はハイテク拠点に近い東静岡駅に移るだろう。この地域に文化的雰囲気、豊富な知的刺激、豊かな自然環境、子育てしやすい環境などが整い、ハイテク産業の成長可能性が増大すれば、JR東海は、こうした要求をのまざるを得ないだろう。
ハイテク産業を核として、新都市が成長すれば、その効果は市民全体の所得水準向上に役立つだけではない。行政、医療、生活などのIT化が急速に進み、福祉が充実しそうだ。
もし市民が政令都市にふさわしい共通の大きな目標を持ち、市政の効率化と重点政策のコンセンサスがえられれば、発展のための猛烈なエネルギーが生まれるはずだ。新都市の名前は確かに問題ではあるが、日本や静岡・清水両市の経済的環境を考えると、新都市の目標づくりの方が遙かに重大である。