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3月20日
深刻な金融危機
救済融資や国債貸し出し
アメリカでは、住宅バブルが崩壊して、金融危機が発生している。住宅債権を証券化した金融商品は大幅な値崩れを起こし、それを大量に所有している証券会社や銀行は大きな損失を被り、倒産の危機に直面している。資金を借りて生き延びようとしてもようとしても、貸し手がいないという深刻な状況だ。
大手証券会社のベアー・スターンズが資金繰りに詰まり、ニューヨーク連銀は14日に救済融資に乗り出した。また格付けの高い金融商品の市場価格が暴落したので、連邦準備理事会(FRB)は高格付けの金融商品を所有している金融機関に対して、それと交換に、国債を貸し出すことを決めた。それは国債なら正当な市場価格で売買され、また借り入れの担保にもなるからだ。
それらは、日本の日銀特別融資や、株式担保の日銀融資といった異常な緊急金融措置に当たる。金融危機の深刻さを物語っている。
最近まで、アメリカは住宅ブームであり、02年から06年の間に、住宅価格が2倍近くも上昇した。その主たる原因は、証券化という手法によって、住宅融資の資金が、魔法のように創造されたからだ。すなわち、住宅金融会社は住宅ローンを融資すると、その住宅貸付債権を証券化して、銀行・証券・ファンドに売却し、それによって獲得した資金を、再び、住宅ローンに向けたのだ。こうして住宅ローンは限りなく拡大した。
価格の値上がりを期待して、住宅を購入する人が増えた。住宅金融会社は低所得層にも多額の住宅ローンを押し売りした。それがサブプライム・ローンである。住宅価格が上昇したので、住宅担保の消費者ローンの枠が拡大して、消費者ローンが増加し、個人消費が好調だった。
しかし住宅ブームが去り、住宅中古価格は最近の1年間で、10%を越える値下りだった。また、サブプライムローンは2~3年経過すると、金利が一挙に10%近く上昇するので、住宅ブームだった05年頃に、借り入れた人は、金利を支払えない状況になった。
アメリカでは、金利を支払わないと、直ちに住宅が取り上げられるから、中古住宅の供給量が増え、その価格はさらに低下した。また、同時に、ローンを返済する義務が消えから、金融機関の住宅貸し付けの損失が増え、住宅債権を証券化した金融商品の価格が暴落した。
機能不全に陥ったシステム
高格付け金融商品も値崩れした結果、格付け機関の信用が失われ、また金融商品を保証している金融保証会社の多くは、支払額が増えて経営危機にある。こうしてアメリカの金融を支えてきた証券化、格付け、保証というシステムが機能不全に陥った。
金融機関は、倒産を免れるために貸し渋りを強めたので、住宅投資が激減して、個人消費は縮小し、景気が不況局面に入った。FRBは金利を引き下げ、景気を刺激しているが、金利が低下すると、海外からのドル資金の流入が止まるから、ドルが暴落している。
アメリカは消費過剰と輸入超過の国であるが、06年まで、景気が良く、また金利が高かったから、海外資金が流入し続け、均衡が取れていたが、今や、金融システムの基礎が揺らぎ、ドルを支える力がすっかり失われた。
アメリカ政府は、まず公的資金を投入して金融機関の資本を補強し、貸し渋りを止める必要がある。その後にドル安を利用して輸出を伸ばし、また消費過剰を改めなければならない。それはアメリカ人の生活を変えることであるから困難な課題であるが、アメリカは黒人を大統領の有力候補に選ぶ程、ダイナミックに変革できる国だ。人口も増えているから、3年間ぐらいでかなり回復するだろう。