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2月21日
地方自治の時代
責任とらない政府
政府の最大の欠陥は、誤った政策を実施して、その結果、民衆がどれほど苦んでも、責任を取ろうとはしないことだ。C型肝炎の問題でも、責任をとるべき高級官僚は、特殊法人に天下りして、豊かな生活を送っていた。やはり政府を信用してはいけないのだ。
政府が撒いた餌に引っかかり、苦渋を飲まされた自治体が少なくない。現在、財政破綻に追いつめられている自治体は、1980年代の中頃や90年代の始め、政府の内需拡大政策に便乗して、大型な施設を建設してしまった。
その頃、大型リゾートの開発や、豪華ホールの建設を実施した自治体の首長は地元から賞賛された。それは政府が建設費の過半を負担するので、無駄な施設であっても、得をしたように思えたからだ。
その後、地域間の経済格差は拡大した。人口は、高付加価値産業が発達している大都会に移動し、地方自治体の税収は減った。豪華なハードは殆ど利用されず、高額なメイテナンス費用が財政を圧迫し、住民の負担が重くなった。
政府は国家財政が破綻したので、援助を打ち切り、地方のことは地方に任せることにした。それによって福祉切り捨てに追い込まれる自治体が少なくない。しかし、意欲ある自治体にとっては、地方分権のスピードが早まるから、成長のチャンスが来たといえる。
最近まで、政府は地方自治体を家来だと思い、補助金を餌にして命令を下してきたが、現在では、自治体は、かなり広い分野で自主的な政策を実施できる。例えば、かっては、採用する職員の資格、配置、人数まで決められていたが、現在では、自由になった。
教育では、小中一貫校、中高一貫校、民間人校長、民間人講師、小学校1年からの英語教育、学校の選択等で自由度が高まり、特色ある教育を実施している自治体が増えた。
また東京の江戸川区では、12歳になるまで、毎月、一万円の育児手当が支給され、また保育園・幼稚園が整っているので、若年人口が増えており、将来、成長地域になりそうだ。
幾つかの自治体は、厳しい景観条例や土地条例を決め、特色ある街づくりに着手した。間もなく、全国の街を画一化している法令がなくなり、自治体の条例が巾広い強制力を持つだろう。
自治体の力強まる
自治体は、「公の施設」の運営を民間企業やNPOに委託し始めた。ホール、美術館、スポーツ施設、斎場・霊園、水道、ゴミ処理、工場団地等等が、専門家によって運営されれば、効率が向上するだろう。
美術館運営の民間委託は、素晴らしい成果を生みそうだ。夜にはパーティー会場に貸し出され、絵画や彫刻をバックにし、ピアノ演奏を聴きながら会話を楽しむといった企画が拡がるだろう。
庁舎のなかの広場で、昼休みに地域の演奏家が、定期的に無料コンサートを開く自治体がある。それは地元の演奏家育成という目的も兼ねている。地域の文化性が高まれば、良質な人材が移住するから、高付加価値産業が成長する基盤が築かれる。
自治体は次第に小型国家になるだろう。その際、最も重要な課題は自主財源の増加であり、消費税を引き上げ、税収増の相当部分を自治体に留め、同時に補助金制度を撤廃すべきだろう。そうすれば、福祉・教育・文化・産業に関わる独自の政策を展開できる。
首長や地方議員の素質が住民の将来を左右する時代がきたといえよう。もし彼等の政策作成能力が劣っていれば、地域の経済力や福祉水準は確実に低下する。それは投票権をもつ住民の責任である。