- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
-
- 農業発展のチャンスが奪われる (12/06)
- 韓国企業の躍進と企画能力 (11/25)
- 反日運動の背景は大卒過剰 (11/09)
- 拡大中国が狙う制海権 (10/24)
- 日銀、景気浮揚へ大転換 (10/15)
- 企業減税が経済再建の第1歩 (09/04)
- 高度な製造業の充実を (08/26)
- 山岳ガイドと地域活性化 (08/12)
- 「小野理論」を誤解した菅首相 (07/22)
- 世界的な財政再建と経済均衡への道 (07/08)
- 菅内閣の消費税増税の狙い (06/24)
- 上海万博、平和の機運醸成 (06/10)
- 沖縄の恨み (05/13)
- 元高でも、中国経済は伸びる。 (04/29)
- 衰退する日本の製造業 (04/15)
- 「理解」を売る時代の始まり (04/08)
- 中国思想と夫婦別姓 (03/06)
- 強い企業の欠陥 (02/18)
- バブル崩壊と金融危機 (01/31)
- 小沢氏の歴史的地位 (01/14)
- 2009年
- 2008年
- 2007年
- 2006年
- 2005年
- 2004年
- 2003年
- 2002年
- 2001年以前
11月25日
韓国企業の躍進と企画能力
日本の技術を見事に吸収
韓国の大企業は強い。電子工業では、トップのサムソンは生産規模でパナソニックを軽く抜き去り、2位のLDがソニーを抜いた。サムソンの利益額は、日本の電子工業の大企業が束になっても敵わない。自動車では、現代・起亜グループの生産台数はホンダを抜き世界5位になった。造船や鉄鋼でも、世界的な巨大企業が高収益をあげている。
韓国企業が躍進した原因は、壮大な企画能力にある。サムソンを例にとろう。技術水準が低い時には徹底的に日本に学んだ。創立者のリ・ピヨン・チョルは1980年代の後半に亡くなるまで、正月を東京で過ごし、日本の経営者や技術者に会って人的関係を深め、膨大な量の本を買って帰った。女子社員にまで日本語を学ばせた。
サムソンは、80年代に半導体事業を拡大した時、優秀な技術者を日本から引き抜いて技術的基礎を固め、90年代以降、日本の電子メーカーからリストラされた優秀な技術者を高額な報酬で大量に採用し、技術水準を国際レベルに高めた。
意欲に満ちた若者を教えるのは楽しいことだ。日本で窓際にいたベテラン技術者は、韓国で新たな生き甲斐を発見した。サムソンは日本のハイテク技術を見事に吸収し、2000年代に入る頃には、サムソンは世界でインテルに次ぐ規模の半導体企業に成長した。
韓国は小国で国内市場が狭いから、企業成長するためには、海外市場が必要だった。90年代から、中国、インド、東南アジア諸国では、中産階級が増加し、中級品のマーケットが膨張した。輸出を伸ばすポイントは、相手国の市場をしっかり調べ、要求される性能と価格を知り、それを満す製品を大量生産することだ。
サムソンは、入社後数年の若手社員を世界の主要国に1年間派遣し、自由に生活させ、その國の言語、文化、習慣、産業、人的関係を学ばせるという制度を作った。彼等は、研究成果を本社に持ち帰り、間もなく現地に赴任して、市場開拓、現地生産の仕事をする。長くそこで働き、人的ネットを深め、その国の専門家になる。
サムソンは、半導体や液晶パネルの成長性を見抜き、90年代から数年ごとに大型な設備投資を繰り返し、圧倒的な競争力を備えた。2000年代には日本企業に追いつき、今や遙かに追い越した。
明確な目標、社運をかける
薄型テレビ、携帯電話、家電の生産では、世界中から安い部品や素材を調達し、必要な技術を世界から吸収し、また躊躇せずに、現地生産に取り組んだ。そのためのマンパワーはすでに揃っていた。サムソンの広告は、80年代から、世界の主要な都市の目抜き通りや空港に溢れた。
日本の大企業の多くは、90年代まで、中国やアジア市場の高成長を予想しなかった。高級品を指向していたので、欧米市場を重く見ていた。また、韓国企業のように、目標を明確に決め、計画を練り、社運をかけるという大胆さが欠けていた。技術を積み上げて、高度な機能を備えた製品を開発して、需要の盛り上がりを待つという姿勢だった。
そうした考え方の背景には、日本は物作り大国であって、絶えず、新しい機能と高い信頼性を備えた製品を開発している。それらは価格が高くても、売れるという信仰があった。ところが、最近、「計画的な韓国企業」に先進国市場で敗れ、新興国市場では日本企業が絶対に強いと信じられていた公害防止装置等の環境産業でも、危なくなってきた。
こうした傾向は、ウォン安や政府の手厚い助成政策によってもたらされたが、それだけではない。日・中・ロシアの3つの大国に囲まれた不安が、韓国人の勤労意欲を刺激し続けているようだ。