- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
-
- 農業発展のチャンスが奪われる (12/06)
- 韓国企業の躍進と企画能力 (11/25)
- 反日運動の背景は大卒過剰 (11/09)
- 拡大中国が狙う制海権 (10/24)
- 日銀、景気浮揚へ大転換 (10/15)
- 企業減税が経済再建の第1歩 (09/04)
- 高度な製造業の充実を (08/26)
- 山岳ガイドと地域活性化 (08/12)
- 「小野理論」を誤解した菅首相 (07/22)
- 世界的な財政再建と経済均衡への道 (07/08)
- 菅内閣の消費税増税の狙い (06/24)
- 上海万博、平和の機運醸成 (06/10)
- 沖縄の恨み (05/13)
- 元高でも、中国経済は伸びる。 (04/29)
- 衰退する日本の製造業 (04/15)
- 「理解」を売る時代の始まり (04/08)
- 中国思想と夫婦別姓 (03/06)
- 強い企業の欠陥 (02/18)
- バブル崩壊と金融危機 (01/31)
- 小沢氏の歴史的地位 (01/14)
- 2009年
- 2008年
- 2007年
- 2006年
- 2005年
- 2004年
- 2003年
- 2002年
- 2001年以前
9月4日
企業減税が経済再建の第1歩
じわじわ弱まった国内生産
日本経済は弱くなり、財政支出を拡大しても、景気は動きそうもない。もし子供手当が増額されたとしても、普通の親は、将来が心配だから一部を貯蓄にまわすだろう。塾や子供用品メーカーの従業員は、将来に備えて、増加した残業手当の一部を貯蓄するに違いない。政府が財政支出を増やしても、個人消費は伸びず、銀行預金が増えるだけという結果になりそうだ。
また日本銀行が金融を緩和し、ほぼゼロ金利の資金を銀行へ大量に供給しても、銀行は融資を増やすことができない。優良企業は安全経営を心掛けているから、資金を借りて、経営を拡大しようとは思はない。一方、大部分の中小企業は生き残るため、銀行からの資金を借りたいが、銀行は危ない企業には貸したくない。
銀行は、日銀から供給された資金と、増加した個人預金とを持て余し、国債を買うだろう。その結果、赤字国債がよく売れ、政府は財政赤字が拡大しても資金調達に少しも困らない。一部の政治家が無責任にも、財政拡大と金融の緩和を主張しているのは、国債の売れ行きがよいからだ。
日本経済が景気政策に反応しないのは、物が余っている上に、人口が老齢化したので、国内需要が縮小しているからだ。多くの企業は消極的経営を行い、設備を長く使い、本社員数を減らした。企業が縮小している時には、新鋭機械は導入されず、ポストが減り、働き甲斐が失われるので、生産性が向上しない。企業はじわじわと弱っている。
振り返ってみると、日本の製造業は労働人口が減り始めた90年代から弱くなった。80年代の終わりには、電子王国・日本が携帯電話でアメリカ市場の70%を抑え、半導体では世界の50%を生産していた。ところが、90年代に入ると、両製品ともアメリカに抜かれ、2000年代には韓国・台湾に完敗した。
10年近く前には、太陽光発電では日本の企業が世界生産高ランキングの上位を占めたが、今や、その地位を中国と台湾の企業に奪われた。液晶やLEDでも、同じように韓国・台湾に負けている。
これは、電子工業だけではない。日本が得意とする自動車工業でも、国内生産の力は弱くなっている。東アジア経済は急成長し、中産階級の厚みが増し、巨大な自動車需要が発生した。自動車工業が成長すると、機械加工、プレス、金型製作等、必要な技能は目覚ましく向上した。
政争に明け暮れする余裕はない
日本企業も、韓国や欧米の企業も、ともに現地部品を使い、生産を拡大した。日本の部品企業や組み立て企業は激しい競争に巻き込まれ、生き残りのために、日本から優れた技能者を送り、最新鋭の機械設備を投入し、また研究開発陣も現地に移っている。
日本の自動車工業は、そっくり海外に移転していているといえよう。海外生産比率は60%に達した。09年における国内の乗用車生産台数は、2000年より150万台も減った。国内生産はコストが高すぎるから、物作りは日本を去りつつある。
政治家は、日本がまだ「物作り大国」だと信じ、財政資金をばらまけば景気が回復し、また経済強国であるから、政争に明け暮れする余裕があると思っている。それは錯覚だ。。
政治家は日本がハイテク大国に戻れるような政策を提案すべきだ。まず法人税を大幅に引き下げ、海外に進出した企業を呼び戻し、かつ海外企業を呼び込むことだ。つぎに、重要な産業部門では大型の設備投資減税を実施して、国内設備の新鋭化を助けるのである。
最も重要なのは、ITソフトやバイオ等の最先端分野で製品開発力を持つ若年層を育てることだ。日本には人材が足りないのだ。