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8月26日
高度な製造業の充実を
中産階級が膨張する中国
中国では、地方中核都市の空港も呆れる程大きい。天井が高く、大きなガラスの壁越しに青空に浮かぶ雲が見え、ゴミがない。トイレも清潔になった。
夏には、小中学生の旅行団が見られ、また複数の子供を連れた旅行者が目立っている。中国は一人っ子政策が、少しずつ変化しているようだ。
まず一人っ子が結婚した時には子供を2人持てるようになり、その子供が育ってきた。次に少数民族が優遇され、何人でも子供を生めることだ。チベット族、ウイグル族、朝鮮族、蒙古族は固有の文字を持ち、漢民族文化に反抗的であるから、政府は機動的に軍隊を動員できる高速道路をつくった。道路工事は辺境地域の雇用を拡大し、完成した道路は物流を活発にした。少数民族の所得は上昇し、彼等の一部が豊かになって、子供連れの旅行をしているのである。
また個人企業の子供が増えた。中産階級が激増し、消費が活発になり、大都市では小売りやレストラン等のサービス業を経営する個人企業が急成長した。
個人企業主には年金がない。老後の頼りは子供である。役所に金を払うと、2人目の子供の戸籍がもらえるから(北京市では100万円近い)、豊かな個人企業主には子供が2人以上いる。金を取られる理由は、子供が増えると、教育・水道等市の財政負担が多くなるからだ。一人っ子政策を忠実に守っているのは、共産党員、公務員、国営企業の従業員、教員・知識人である。
中国では中産階級が膨張し、中級品の巨大需要が生まれ、100万円前後の乗用車が飛ぶように売れている。自動車工業は裾が広いので、多様な産業を底上げする力がある。中国人の技術吸収能力は高いから、機械産業や電子産業では、部品生産から組み立てまで、純粋な国内企業が世界企業と競争する力を備えてきた。
製造業が集中立地している沿岸の工業地域では、労働力が不足し賃金が上昇している。それとともに、消費が増え、多様な産業が成長している。大型な道路や鉄道の投資が辺境地域まで伸びており、繁栄は中国全土に拡大しつつある。中西部や東北部には少数民族地域があり、また農民には無戸籍者が多いから、労働人口は不足しない。
沿岸地域経済が急速発展
将来、人口が激減しそうもない。経済の基礎がしっかりと固まった。将来アメリカを追い抜く力を感じさせた。日本企業は中国経済の成長が続くと予想し、製造業では、現地に中国市場向けの中級品を生産する大型工場群をつくり、また小売り業では、大規模なテンポ網を築いた。
日本企業はリーマン・ショック後、一段と工場を海外に移転させ、同時に国内設備を縮小して安全経営に転じた。しかし、それが裏目にでた業界がある。そうした時、中国沿岸地域の経済は急速に質的な発展を遂げ、高級な自動産業機械や工作機械の需要が増え、その生産にはIT技術を組み込んだ日本製の高級部品が幾つも必要になっていた。この業界では、これほどのスピードで沿岸地域の経済が高度化するとは、誰も予想できなかった。既に生産設備が圧縮され、輸出余力がない。失業者が多いのに生産できないのだ。その空白の間に、中国、韓国、タイの企業が次々に高級部品の製作能力を高めるだろう。日本企業は、更なる技術開発力を高める必要がある。
私たちには、独裁国家は長期的な経済成長を遂げられないという信念に近いものがある。しかし、中国は特異な独裁国家であって、例えば、一人っ子政策という建前を維持しながら、適当にゆるめて国内の対立感情を緩和し、かつ人口の激減を防ぐという巧妙な政策を実施してきた國だ。