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3月28日
日中対立を解決する道
今世紀は「政治の時代」
中国の経済力は、今世紀に入ると、日本を抜き、鉄鋼(粗鋼)の生産能力は日本の7倍に達し、また新興国におけるスマートフォン市場は急膨張しているが、そこでは中国の大企業2社が、国内部品を多く使い、低価格を武器としてトップの座を窺っている。 太陽電池の世界市場では、10年近く前まで、日本企業が断然強かったが、現在では中国企業が世界の半分を占め、日本企業のシェアは一桁に転落した。自動車工業では、中国は世界最大の生産国になり、中国企業のシェアが次第に高まり、また中国製部品が増えている。フォーチュン誌の世界ランキング上位500社に入る中国企業は、11年には73社に達し、日本の68社を軽く抜いた。
かつて日本は中国にとって最大の貿易相手国だったが、今や、中国の総貿易額に占める対日貿易のシェアは約10%に低下し、逆に日本の総貿易額に占める対中貿易のシェアは20%に増加した。中国は世界の生産拠点であると同時に大消費地に発展した。
そのため、中国政府の要求が強くなり、例えば、海外企業が中国市場へ大規模に進出する際、大型研究所も移転して中国の技術力向上に協力することを要請され、それに応ずるケースが増えた。
中国は、20世紀前半には、長い期間にわたって日本に侵略されたが、80年代まで、経済発展のため日本に対して低い姿勢を示し、臥薪嘗胆で臨んだ。今世紀になって経済の実力が強まるや、真正面から対日批判を繰り返し、日中関係は「政治の時代」に変わった。
折しも、日本では「小泉首相の靖国参拝」、「新しい歴史教科書の検定合格」など中国人の感情を逆撫でするような事件が相継いだ。中国政府は、所得格差、環境破壊、汚職等、体制を危うくする問題に困り果てていたので、この機会を捉えて、大衆の不満を反日感情にすり替えることに成功した。
ところで、普通の日本人は、第2次大戦中の中国における旧日本軍の行動に深い贖罪感を懐いているから、日本政府は総額約6兆円に達する各種援助金を送り、また報酬を度外視して中国の発展に協力した企業や個人が多かった。そのため現在の中国の態度には不満である。
技術協力進め政経分離を
日中間の感情的対立が深まると、人為的に摩擦の原因がつくられた。「毒餃子事件」は個人的な犯行に過ぎず、通関検査では中国からの輸入食料は他国と比べ安全であるにもかかわらず、日本では中国の食料はすべて危険だという風評が広がった。中国政府は、福島原発事故による放射線被害地域の範囲や食品の種類を他国より遙かに広く取って、輸入を禁止した。 尖閣諸島を巡る争いが激しくなったが、 両国政府は、国民のナショナリズムに押され、簡単には引き下がれない。最近アメリカでは日本の厳しい姿勢を批判するジャーナリズム論調が増えている。
ところで、中国経済には環境破壊、少子高齢化、社会保障制度の不備など深刻な問題が存在し、日本のハード・ソフト技術は中国に移転可能であり、こうした技術協力が進めば、政経を分離して、領土問題をゆっくり話し合う余裕が生まれる。アメリカもそれを望んでいる。