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1月17日
改革への強い意志を示せ
危うい大型補正予算
2%のインフレ・ターゲット政策は、一種のカンフル注射である。デフレ経済の時には待っていれば物の値段が下がるから、消費は減少した。これに対して、インフレになると、お金の価値が下がるから物を買う人が増え、消費は伸び、景気がよくなるはずだ。
外人投資家が、日本経済の景気上昇を期待して日本株に対する投資を増やし、日本の投資家もそれに引っ張られて、株価が急上昇した。常識では、外人が日本に投資すると円高になるが、今回は、第1に、インフレ・ターゲット政策によって、円の供給量が増える、第2に、原発が止まり、天然ガス輸入が増加したので、貿易収支の大幅な赤字が続くという理由から、株高と円安が進んだ。
株価の上昇によって、企業や個人は金融資産が膨張して豊かになり、また円安によって、企業の輸出が増えそうだ。景気の先行きは明るく見える。
しかし、間もなく、円安が輸入価格に反映され、企業の生産コストや私達の生活費が次第に上昇する。また、日本企業は工場を海外移転したので、円安になっても輸出できる物が多くない。企業収益や雇用は、余り改善されない。
そのため、景気浮揚を持続するためには、財政出動が不可欠であり、政府は大型補正予算を決めた。その主たる財源は国債であって、国債が増発されても、その価格を維持するため、日本銀行がかなりの国債を買うことになる。日銀はすでに膨大な額の国債を持っており、政府には国債発行を圧縮する力がないので、日銀の資産内容は悪化するという困った状況にある。
将来、日銀の国債所有残高が「ある大きさ」を超えた時、日銀の信用は低下し、円安が止めどなく進み、長期金利が上昇して、破滅的な不況が発生する可能性がある。
政府は補正予算の半分以上を公共事業に使う予定である。確かに老朽化した道路・建物維持補修工事は必要であるが、工事が完了した時、再び失業が生まれる。
子育て世代重視を
重要な政策は、まず、年配者に偏り過ぎた福祉政策を改め、子育て世代中心に変えることだ。手厚い育児手当や保育園の拡充によって、出生率が高まるだろう。子育て世代は、手当や補助金を直ぐ消費するので、その需要創造の効果は大きい。また、多くの女性が出産後も働き続けるから、熟練度が高い働き手が増え、日本経済の底力が増す。
次に成長産業分野について規制を緩和する。医療では混合医療を認め、外国人の医師・看護婦が働ける医療特区をつくり、世界最高の医療産業や医療機器産業を起こす。農業には、非農家の自由な参入を認め、国際競争に曝して、強い企業的農業を育成する。
最後に、新産業を育成するため、ベンチャー的企業に政府資金を投融資することである。
政府が成長政策に対する決意を具体的に示せば、日本経済に対する内外の信用が戻り、国債が増発されても、泥沼の円安に転落することなく、経済を再建する時間的余裕が得られるに違いない。