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12月7日
景気低迷、続く消費悪循環
日本経済はすっかり弱くなった。15年前には、日本のGDPは世界の17%を占め、一人当たりGDPはスウェーデンやアメリカを抜き、ルクセンブルグ、スイスに次ぐ世界3位だった。
ところが、その後、世界の経済成長から取り残され、昨年には、日本のGNPは世界の10%に縮小し、一人当たりGDPはスウェーデンやアメリカから遠く引き離され、シンガポール、イタリアにも抜かれ、17位に転落した。
政府は、経済を刺激するため、財政支出を拡大し続け、日本銀行は政策金利を10年間も1%以下の低さに保った。この長期・超低金利は、世界資本主義史上、始めての現象である。それにも拘わらず、日本経済は停滞を続け、国家財政は破綻している。
今年度の国家財政は、税収が37兆円しかないのに、歳出が94兆円に達し、差額は国債発行によってまかなわれる。国債発行額は未曾有の大きさだ。政府(地方政府も含む)の借金総額をGDPで割ると約200%であって、欧米主要国の70%前後より遙かに大きい。平時に、これほど国債に大きく頼った国は他にない。
誰でも将来に不安を感じている。失業している人が多く、就職していてもリストラを恐れる生活だ。その上、若い人は、将来、ずっと財政破綻の尻ぬぐいをさせられる。重税を強いられ、かつ年金カットと親の介護を覚悟してなければならない。
ノーマルな感覚を持った人は、本能的に節約している。そもそも、デフレ経済が続いており、消費を先に延ばせば延ばす程安く買える。消費を控え、貯蓄した方が得だ。
東京では運転免許をとらず、自動車を持たない若者が増えた。収入に比較して、自動車をもつ費用が高すぎるのだ。自動車を持つのは時代遅れという感覚が広がった。
ブランド品を欲しがる人が減った。例えば、暖かく、軽い冬用コートが数千円で買える。数十万円の高級ブランド・コートを長く使うという考え方は消えた。流行に合わせて安いコートを頻繁に買い変え、古くなったコートは処分するのだ。
外食が減った。サラリーマンは会社の仲間と帰りがけに一杯飲んだりしない。独身者はマンションで加工食品を食べ、妻帯者は家で子供と一緒に食事をしている。
20代の若者はテレビ・新聞なしの生活を送っている。彼らは携帯電話やiポットを使って、必要な情報を知り、小説やゲームを楽しみ、音楽を聴き、友達とメールをやり取りしている。また、海外旅行や留学の人気が消えた。驚くことに、中国に行ったことがない若者が多い。また海外留学数は減少の一途を辿っている。中国や韓国の若者は欧米の大学院に殺到しているが、日本の若者は逆である。海外旅行や留学は、費用に較べて、得られる楽しさや利益が少ないと感じているのだ。
こうした生活姿勢の結果、消費が減り、景気が低迷し、不安が高まり、消費がさらに減るという悪循環が続いている。政府は消費税の大幅引き上げを宣言して、財政破綻を現世代全体の負担によって解決する決意を示すべきだった。政府は問題を絶対に先送りしないという信頼が広がれば、若者の不安は減り、消費意欲が高まるはずだ。