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4月5日
環境投資による内需拡大
経済活性化の決め手欠く
日本経済が不況を脱出するためには、大規模な内需拡大が不可欠であるが、その決め手に欠けている。
まず個人消費が伸びない。それは賃金が低下し失業が増えているからだ。また平均的な家庭は1400万円の貯蓄を持っているが、金利が低いので、金利収入は微々たるものだ。株式投資している人は、株安によって大きな評価損を被った。
一昨年までは円安だったから、輸出産業が成長し雇用が増えた。円安の原因は主要国の中で日本だけが低金利だったからだ。世界の投資家は低金利の円資金を借り、高金利のドル証券を買った。そのため円売り・ドル買いが続き、1ドル・110円台の円安になった。私達が低金利を我慢したので、輸出産業が好調だったと云えよう。
ところが、世界的な大型不況が発生すると、主要国はいずれも金利を引き下げた。その結果1ドル・100円以下の円高になった。輸出産業では輸出量が減り、輸出価格(円・基準)が低下し、大赤字が発生した。賃金上昇や金利引き上げは不可能である。
つぎに公共投資による内需拡大も難しい。現在では公共施設が充実しているので、公共投資は民間投資を誘発する力がない。かっての日本では大型道路が建設されると、その周辺に新工場が立地し、また物流センターが建設され、新需要が創造され、雇用が増えた。
しかし現在では、大型道路が建設されても、交通量が目立って増えたり、また周辺に新工場が建設されたりすることはない。道路工事のために必要な雇用が増えるだけだ。また財政赤字が大きいので、公共投資の拡大とともに国債発行が増え、負担を後世に残すという悪い結果になる。
最も効果的な内需拡大策は太陽光発電や電氣自動車等のエコ製品に対して、いろいろな助成措置を実施することだ。エコ製品は地球温暖化対策として必要であり、近い将来、大産業になるだろう。日本がエコ技術で世界をリードすれば、国際的な地位が向上するに違いない。
家庭用の太陽発電設備の価格はまだ高い。それを普及させるには相当の補助金の支給や特別融資制度が必要だ。太陽発電装置が大量生産されると、コストが下がり、価格は現在の1セット500万円の半分ぐらいになるだろう。それとともに補助金は減少するはずだ。
全世帯を太陽光発電化
伊藤忠のエコノミスト・北井義久氏の案は面白い。家庭が太陽光発電装置を購入する際のローンには政府保証を付ける。そうすれば、銀行は喜んで融資するだろう。政府は発電装置を担保にとり、家庭が返済不能になった時にはそれを没収することにする。家庭は万一の場合の負担は、発電装置を失うだけであるから、ローンを利用しやすい。
日本の所帯数は4000万戸であって、全世帯を太陽光発電化するには約100兆円かかる。家庭はそれを購入し、10数年も経てばローンを返済し終わる。それ以後は、燃料コスト・ゼロの太陽熱による低料金の電氣を利用するのだ。
現在、失業者が街に溢れ、週に3~4日も休んでいる人が多く、また機械設備の稼働率は低い。10年間で日本の全世帯が太陽光発電化すれば、年間で10兆円という巨大な新需要が生まれる。それを満たすために雇用が拡大し(失業が消える)、関連産業では休止していた設備がフル稼働に入り、さらに新規の大型投資が発生するだろう。経済が活況を呈し、かつエコ社会が実現するのである。
こうした構想に較べると総額2兆円の定額給付金の支給や5000億円の高速道路料金引き下げといった政策はビジョンを欠き、料簡が狭い政治的発想と云わざるを得ない。