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11月5日
東アジア経済の中軸中国
アメリカに迫るGDP
中国経済は奇跡を起こし、30年間も10%成長を続けている。30年前のGDP(購買力平価基準)は、日本の5分の1に過ぎなかったが、今や日本の3倍に達し(IMF推定)、アメリカに迫っている。中国経済が成長したので、東アジア・サミットの参加16カ国の経済規模(購買力平価基準)は、アメリカとユーロ圏の合計を上回った。
中国は鉄鋼(粗鋼)、テレビ、携帯電話、パソコン等では世界の40%以上を生産し、世界1の自動車生産国にのし上がった。生活水準は向上し、都市部では、主要な家電製品がゆきわたり、今や自動車の売れ行きが好調である。農村部では、大部分の家庭にカラーテレビが普及し、過半の家庭がオートバイを利用している。最近、低廉な自動車が売れ始めた。
中国には品質の悪さをカバーするシステムがある。自動車で言えば、全土に修理屋が点在し、大都市では、必ず数百軒の修理屋街がある。自動車の品質が多少劣り、故障しても困らない。そのため100万円以下の安い自動車が好まれている。今まで、外資系企業が中級・高級の自動車を販売してきたが、これからは中国企業の安い製品が急速に伸びそうだ。
また巨大企業が増えた。時価総額でトヨタを抜く中国企業が6社もあり、特許取得件数・世界一は中国の企業だ。社会インフラも一流国になった。香港、上海、深せんは、コンテナー扱い量が世界2位、3位、4位の港湾都市だ。年間に建設される高速道のキロ数は、日本の高速道路総延長キロとほぼ半分というすさまじさだ。全国の主要都市は高速道路で結ばれた。
世界の国際企業は、賃金や技術の水準、関税の高さ、規制の強さ、政治の安定性等の要因を考えて、東アジアで生産・販売ネットワークをつくっており、その軸は中国に置かれている。例えば、日本の企業は本社で商品企画し、台湾企業に設計を発注し、中国で組み立て、日本企業のブランド名で中国市場や海外に出荷するという具合だ。
中国企業は高級品の生産では日本から部品を輸入し、工場で日本企業を定年退職した技術者を使い、最近では新技術を獲得するために海外企業を買収している。下級品の生産では、賃金が安いベトナムで組み立て、必要な部品は中国から供給される。製品は中国や世界の市場で売られるのだ。
共同体は日本成長の道
こうした東アジア諸国間の経済相互依存関係は、EU諸国間のそれよりも深まった。中国では、アメリカ大不況による打撃が少なく、現在、内需に支えられ、8%成長を続けている。東アジア諸国は、経済が好調な中国への輸出の増加によって深刻な不況から回復し始めた。日本経済は、対東アジア輸出が伸びたので、先行きに薄明りが見えてきた。
日本の大企業は、人口が縮小している日本市場を諦め、工場だけではなく研究開発や商品企画の部門も中国に移し、中国市場向けの生産を拡大している。また東アジアの生産・販売のネットワークの指令塔をシンガポールに置く企業が増えた。
東アジア共同体構想については、中国には人権がない、規制が多くかつ頻繁に変わる、コピー商品が多い、軍事的覇権を目指しており危険だ、日本の農業が打撃を受ける等、いろいろな理由が挙げられ反対論が強かった。
しかし、実際の経済ではすでに共同体が形成され、中国がその中軸に収まっている。東南アジアの街々には中国語の標識が溢れ、どこでも中国語が聞かれ、支払いは円より元が喜ばれる。今後、日本経済が成長するためには、どうしても成長力がある東アジア経済との一体化が必要だ。東アジア共同体の形成を目指す鳩山内閣の方針は間違っていない。