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9月6日
出生率アップ必要性明示を
緊急経緯対策も力不足
景気は底を打った。それは、製造業の企業が約1年前から急速に生産を圧縮し続けた結果、製品在庫が減り過ぎたからだ。とくに海外の在庫が減り、それを埋めるため、最近、生産と輸出が増えた。
その上、定額給付金の支給、高速道路料金の引き下げ、エコカー減税、エコ・ポイント等の緊急景気対策の効果が現われ、7月には、個人消費が一年前に較べてわずかであるが、増加に転じた。今年の2月頃には6%も減少していたのだから、これは素晴らしい成果と言える。麻生さんは、自民党政府の政策の果実だと胸を張った。
しかし、同じ7月に消費者物価が前年比で2.2%も下がり、完全失業者は360万人という未曾有の数に達した。生産が増加したと言っても、1年前に較べるとまだ80%以下の水準にあり、依然として設備も人も余っている。多くの企業は売り上げを伸ばそうと、苦し紛れに価格を引き下げている。
価格引下げ競争が激しいので、赤字企業が増え、従業員数の圧縮と賃金カットが続いている。所得が減れば物が売れない。値引きと人員整理の悪循環が止まらないのだ。
消費者はエコカー減税とエコ・ポイントに惹かれて、自動車や家電を買い換えたが、他の消費を増やしたわけではなかった。自動車・家電以外の消費財やレジャーへの支出は減少し続けている。
自動車や家電の関連企業が活況を呈して雇用が拡大し、それによって一般消費も増加して、景気浮揚力が高まるという期待は見事に外れた。それどころが、来春には緊急景気対策の効果が消え、景気が2番底に落ち込むかもしれない。
民主党は難しい時に政権に就いた。まず予算を組み替え、無駄な支出をカットし、特殊法人を徹底的に整理する決意だろう。圧勝の勢いに乗り、それをすぐ大規模に実施すると、景気が悪化する恐れがある。
無駄な支出であっても需要を生み出し、景気を支えているからだ。景気が微妙な段階にあるので、慎重な行動が望まれる。
来年度の予算編成では、早速マニフェスト通りに出産手当や中学生までの育児手当を決め、同時に出生率を引き上げようとする理由をはっきり述べるべきだ。出生率の引上げ政策については、今までは、1,子供を産むのは個人の自由ではないか、2,老人の生活を支えるために子供を産めというのか、3,二次大戦中の「生めよ増やせよ」運動と同じではないかという批判を恐れ、政府は及び腰だった。
育児コストは社会で負担
しかし、日本経済は老人層の急増と若年層の急減に苦しみ、福祉支出をカバーするため財政赤字が累増の一途を辿ってきた。今まで膨大な国債を発行して、返済負担を後世にしわ寄せしたが、それでも、長期の経済停滞から脱することができなかった。
今後増大し続ける老人の生活を支え、かつ豊かな社会を守るためには、若年人口の増加が不可欠だ。今からでは遅すぎるが、それでも、兎に角、出生率を高める必要がある。
子供が増えれば、衣食費や教育費などが増加して内需が拡大し、かつ20数年先には沢山の働き手が現れる。核家族社会では若年層が老人全体を支えるから、当然、社会が子供を育てるべきだろう。出産・育児の費用は社会が負担し、子供のない人も子供を育て終わった人も、その費用を負担するのは自明の理であり、それを国民的コンセンサスにすることが重要だ。
社会が子供を育て、将来、必ず子供が街に溢れる。こうした明るく展望こそ、私達に安心感を与え、その結果、消費が増え、内需が持続的に盛り上り、日本経済の成長を維持する力になるはずだ。