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2月5日
1秒を争う財政支出拡大
日本経済、大不況に突入
日本の景気後退は一昨年の秋に始まり、昨年9月には、リーマンブラザーの倒産と同時に発生したアメリカの金融危機の影響をもろに受けて、崖から転げ落ちるように大不況へと突入しつつある。
輸出が激減し、12月には35%(前年同月比)の減少になった。輸出の中心を占めている機械製品は、素材や部品など関連産業の裾が広い。代表的な機械製品である自動車は、鉄鋼、タイヤ、工作機械、半導体、液晶、電装品等多様な素材や部品から成り立っている。機械製品の輸出が減少すると、多様な産業が大打撃を受ける。
景気の下降が1年以上も続き、所得が低下しているから、もともと個人消費は弱かった。そうした時に、輸出関連産業が大打撃を受けたので、解雇が広がり、内需が急速に縮小した。自動車の国内販売台数は年率で約20%、百貨店の売上額は約10%も減った。製造業では、操業停止の工場が増え、12月の生産は20%の減少だ。
今や、大企業では解雇は非正規社員から正規社員に広がり、一ヶ月間で約2万人が解雇され、毎月約1400社が倒産している。アメリカやヨーロッパの不況は深刻さを加えているので、輸出はさらに減るだろう。そうなると、消費が減り、生産が縮小し、解雇がさらに増えそうだ。日本経済の先行きは真っ暗である。
兎に角、景気の下降を止めなければならない。多くの中小企業は、売り上げが大幅に減少したので、資金繰りがつかず、倒産の危機に直面している。中小企業の雇用は全雇用数の90%近くを占めている。また優れた技術を蓄積している企業が多い。それらが倒産すると、失業が増すだけではなく、日本経済の基礎が揺らぐ。まず中小企業の資金繰りを助けなければならない。
日本銀行は、銀行の中小企業向け融資を増やすために、異常な手段を決めた。CPや中小企業の売上債権を裏付けとする担保証券を銀行から買い上げ、銀行に資金を供給するのだ。CPや担保証券は信用度が低いという大きな問題があるが、日銀は緊急事態であるから決断した。
政府は中小企業融資に対する信用保証枠を20兆円に、また政府金融機関の緊急貸付枠を10兆円に決めた。さらに日本経済を支える重要な企業を救うために、公的資金を出資する制度をつくる方針だ。
強力な政府へ総選挙急げ
病気は早く手当てすれば回復が早いが、遅れると重病になり死に至る。景気も同じであって、早めの措置が必要だ。まして大不況に突入しつつある時には、一秒を争って財政支出を拡大すべきである。需要は一旦減少し始めると、加速度的に減少する性質があり、昨年の9月以降、景気はそういう段階に入っている。
完全失業者はすでに300万人に近づいている。失業すると、技能を習得する機会や結婚のタイミングを失う。結婚している人は子弟を教育する資力がない。将来の人口が増えず、また次世代の労働力の質まで低下する危険性がある。彼等に財政支援すれば、直ちに支出するだろうからそれはそっくり消費の増加になる。本来なら失業者向けに100万円程度の定額給付金を実施すべきだった。
緊急政策に関して問題は国会だ。政府財政面からの景気刺激政策を絶え間なく実施するつもりでいる。しかし総選挙を前にして、与野党が対立し、与党が内部分裂して、国会における予算審議が長引き、財政支出のタイミングを失い、景気がさらに悪化する可能性がある。直ちに総選挙を実施して、強力な政府をつくるべきだ。