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7月26日
円高基盤つくる行政改革を
異常な円安で外国人参入
現在は異常な円安である。円の実効為替レート(貿易相手国に対して、加重平均した総合的な為替レート)の推移を見ると、2000年からすでに約50%も下がった。
そのため、東京では外国人旅行者がぐっと増え、繁華街や地下鉄の中で聞き慣れない言葉が頻繁に聞える。韓国人のゴルフ客が増え、北海道から九州に及んでいる。また中国から中・高生や大学生の修学旅行が多くなった。
中国の一部の大学は、日本の有力企業にインターンシップ制によって日本語学科の学生を送り、実務を学ばせようとしている。中国では大学間の競争が激しい。日本で半年近く実務に携わり、成績が良ければ、就職の可能性もあることをPRするのだ。円安を利用して、英語科に押され人気がなくなった日本語科を復活させようと云うのだ。
外人投資家はもっと活発だ。 韓国や中国の投資家が,高級ゴルフ場の会員権、マンション、ビル、ホテル等を買っている。ウォンや元は対円レートが急上昇したので、日本の不動産は安く思われ、大都市や一流観光地の不動産は今後の値上がりが期待できる。
東京の証券市場では、外国人の大幅な買い越しが続き、大企業の中には、外国人の持ち株比率が半分近く達した企業が多くなり、経営に対する外国人の発言力が強まった。
また、欧米のファンドが盛んに日本企業を買収している。彼等の狙いには、1、企業を再生して企業価値を上げる、2,企業を分解して、売却して利益を上げる、3,大量な株式を取得した相手企業と交渉して高い価格で株式を引き取らせるなどいろいろな目的がある。外貨を基準で考えると、彼等にとっては、日本の株式が安いから買い時であり、会社を支配して儲けるチャンスだ。
輸出企業は、円安の結果、未曾有の高収益をあげ、設備投資を増やしたが、その投資を自己資金で賄った上に、なお豊富な資金を持っており、金融機関は融資が伸びなくて困っている。
企業や金融機関の余裕金はファンドに融資され、日本企業の買収を助けている。金融機関にとてっは、強力なファンドは返済能力があるから好個な融資対象だ。
銀行の主たる収益源は手数料に変わっている。個人投資家にとって高金利・高配当の外貨建ての預金や投資信託は魅力的であるから、銀行や郵便局は手数料稼ぎのために外貨建て債権を売っている。それだけ円売り、外貨買いが進み、円安の基盤がつくられているわけだ。
必要なのは質の向上
ところで、 企業買収が多くなると、新しい職業が栄える。買収防止策の作成、企業価値の算定、国際弁護等の専門家は、年収約5000万円を獲得している。以上のような外国人や外国資本の活発な動きは、日本ではすべてが安いという事情から生まれた。
本来なら、日本は次のような国であるはずだ。日本製品は優れているから円高でも輸出が伸びる。高価につくが景観や文化が素晴らしから日本旅行が増える。大学は授業料が高いが研究の水準が高く、世界に通用する学者になれるから日本に留学する。日本人は、安いから、外国旅行に行く。
そうなるには、企業が新製品開発力を強め、また技能者を増やすことが必要だ。大学は質を飛躍的に向上させなければならない。自治体は機能を高め、現在の公立劇場や美術館で市民が高額な料金を払っても、喜んで鑑賞する企画を続け、新しい文化産業を起すべきだろう。こうした多様な努力が必要だ。
景気が好調であっても、それが円安で支えられている限り、喜ぶわけにはいかない。円高の基盤をつくるには、行財政改革がもっと必要だ。年金問題だけに熱中する余裕はないはずだ。
(以上)