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2月3日
政策金利引き上げ狙う日銀
円安がもたらす景気上昇
円安傾向が続いている。現在、1ドルは120円台であり、3年前に比べると、10%の円安である。1ユーロは150円台の半ばであって、3年前と比べて20%も円安だ。韓国、中国、オーストラリア等東アジア・大洋州の通貨に対しても大幅な円安である。
円安の原因は、まず日本の低金利であり、政策金利はわずか0.25%だ。これに対して、アメリカの政策金利は5.25%、ECのそれは3.5%であり、オーストラリアは6.25%という高さである。
これだけ大きな金利差があるから、ヘッジファンドのようなプロの投資家は、円資金を調達して、それを高金利国の通貨に換えて、巧みに運用して、高収益を上げている。また主婦のような素人の投資家は、高利回りの外債や外国株に運用している投資信託を買い、銀行は投資信託の販売手数料によって、収益を得ている。このように、プロの投資家や素人の投資家によって、巨額な低利円資金が外貨証券に投入される時、円売り、外貨買いが発生するので、円安傾向が強まるのである。
もう1つの円安の原因は、日本の企業が高収益を続け、再び、海外の生産拠点を積極的に拡充する力を備えたことだ。海外で工場を建設する時、まず円が売られ、現地の通貨に換えられて、機械設備の購入や人件費の支払いに充てられる。それは円安要因になる。
ところで、円安が進むとともに、日本の輸出が伸びて、輸出産業は高収益を上げ、その結果、設備投資が拡大した。日本経済は、その陰で、いざなぎ景気を抜く長さの景気上昇を続けている。しかし、この状態が何時までも続くわけではない。
というのは、まず低金利が日本経済に歪みをもたらしているからだ。まず、現在、経済活動と人口が、速いスピードで首都圏の都心部や大都市の中心部に集中している。そこでは、不動産投資が活発になり地価が値上がりしている。また近郊の一流ゴルフクラブの会員権価格が上昇しており、金融緩和がバブルを生みそうな気配がする。
超低金利の結果、消費者の金利収入が激減した。大雑把に計算して、過去、10年間で累計300兆円の減少であり、それが、景気上昇に力強さが欠けている一因になっている。日銀は折りあらば、金利を引き上げたいと願っている。
世界不況を誘発する恐れ
つぎの問題は、円安の反動として、円高・ドル安になるかもしれない。アメリカ経済には、住宅価格が上昇し過ぎていること、経常収支の赤字が累増していることという問題がある。そのため、やがて景気の過熱が押さえられ、ソフトランディングのプロセスに入り、金利が下がり始めるだろう。
その時、日本の金利が引き上げられたならば、日米に金利差が縮小し、日本から流出していた巨額な資金は逆流するはずだ。ドル売り、円買いが発生し、円高になるだろう。
一旦、円高の期待が拡がると、投資家は一斉にドル売り、円買いに走るだろう。アメリカは、貿易赤字が累積した結果、5兆ドルを超す海外負債を抱えている上に、イラク戦争によって、国際的信頼を失っているから、それを機会にドルが暴落するかもしれない。
ドルが暴落すれば、アメリカ経済は不況に落ち込み、それがアジア経済に波及し、世界不況を誘発する恐れがある。日銀としては、アメリカの景気が好調のうちに、どしどし政策金利を引き上げておきたい。
日銀は、今月、政策金利の引き上げを見送ったが、今後、個人消費に少しでも明るさが出れば直ちに引き上げるだろう。数年前まで、日本経済の回復には賃金の低下が必要だったが、現在は、消費を刺激するために、賃金上昇が必要である。そうなれば、政策金利を何回も引き上げることができる。