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静岡総研「SRI」時々刻々 101号

中国人観光客ブーム近づく

中国経済は目を見張る発展を続けている。主要工業製品の生産量の世界シェアは、家電で約80%、鉄鋼で50%を占め、自動車はアメリカを抜いて世界トップに立ち、09年の世界大不況の年でも、年率50%近いという驚異的な伸びを示し、現在もその勢いが止まらない。

中国の輸出額は09年に世界1になった。現在、世界経済は供給力過剰に苦しんでおり、日本や欧米諸国の政府は、財政支出を拡大して需要を創造しているが、国債発行額巨額に達し、経済が押し潰つぶされそうだ。これ以上、財政支出を増やすことができないので、どの國も財政カットや増税に動いている。

こうした世界情勢の下で、中国経済は輸出主導型成長から内需拡大型成長に変わり、最近、 もの凄い勢いで、インフラ投資が拡大している。鉄道については、09年から3年間で2万キロ敷設する計画であり、13年にはアメリカについで世界2位の長さになる。 高速道路の総延長キロは、同じ年にアメリカを抜き世界1になるはずだ。これによって中国はインドシナ半島だけではなく、インド、パキスタン、ロシアと高速道路で繋がる。中国ではインフラ投資が、多様な新需要を生み出し、高成長経済を維持できそうだ。それとともに、沿岸部だけではなく、内陸部の雇用が拡大して、所得が急上昇し続けるだろう。 沿岸部では出稼ぎ農民が減り、ストライキが増え、賃金が20%も上昇した。こうして豊かな階層が増え、その上、元高傾向が継続するから、今後海外旅行者は激増の一途を辿るだろう。すでに、東京の高級ブランド店や家電店には、中国人旅行者が溢れている。

これに対して、日本の製造業は衰えた。得意産業だった電子工業は韓国、台湾、中国に完敗であり、自動車は、アメリカや中国市場で韓国車に敗れている。残念であるが、日本の主要産業は観光、医療、介護のサービス産業に変わりつつある。

日本政府は、中国人観光旅行者に対するビザの条件をかなり緩和した。中国人にとって、日本は近いから、観光旅行先として最適であり、数年後には、300万人ぐらいに達するだろう。上海の甫東地区はマンハッタンに匹敵する高層ビル街であり、時速350キロの新幹線が上海から杭州や南京に走り、またリニアーモーターカーもある。彼等にとって、日本の近代文明には珍しいものはない。

日本の魅力は街は清潔であり、隅々までキッチリ造られていることだ。食事は安全でうまい。質の高い商品が買える。偽物がない。彼等は日本の田舎は、自然が美しく整然と手入れされ、人々が親切さだという。

今後、格安チケット時代になるから、アジアからの旅行者も激増するだろう。韓国の若い女性には、私より東京に詳しい人が多い。中年以上の韓国人は日本のゴルフ場や温泉事情をよく知っている。

中国人は東京の他では、知り合いが住み、中国語を話せる人が多い美しい地方に行くだろう。静岡には中国人留学生や職を得ている中国人も少ない。静岡市の駅前はコンクリートとビルで固められ、自動車の洪水だ。中国の都市と変わらない。水の流れや緑を多くし、深夜以外は市街地から自動車を排除し、一刻も早く、自転車と徒歩が中心の静かな都市に変えたいものだ。

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