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10月4日
中国の石油戦略と尖閣諸島
世界的規模で油田開発
中国は、人口を考慮すると著しい資源不足国であり、石油(天然ガスも含む)では、1996年から輸入国に転じ、最近10年間で輸入数量は4倍に増え、今やアメリカに次ぐ大輸入国になった。
13億人が、日本人並みに豊かになるには、生産性の向上や省エネに努めても、石油の消費量が現在の数十倍に達するだろう。国内では旧油田が枯渇しているので、将来の需要の増大は海外油田に依存せざるを得ない。米中の対立関係を考えると、アメリカのシェールガスを当てにできないから、中国は現在、世界的規模の油田開発計画を進めている。
油田開発には2つの方向がある。その1つは、東アジアの海底油田の開発であり、南シナ海や東シナ海は有望であるから、周辺国を武力で威嚇して島を占領し、開発可能な地域を増やしている。
もう1つは、アフリカや中東における油田開発である。中国の主な輸入先は、中東ではサウジ、イラン、オマーン、アフリカではアンゴラ、スーダン、コンゴである。中国国営銀行の発展途上国への融資額は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)のそれをはるかに抜いており、融資の大部分は資源開発だ。中国政府は今後3年間にナイジェリア、ザンビア、アンゴラ等を含めた主要国に対して、200億ドルの巨額な借款を約束した。
アフリカでは、在住の中国人は100万人を軽く超した。中国企業が資源開発やインフラ建設を行っている近くの街では、中国人が小売店、レストラン等を経営して、中国がそっくり移動したような景観である。
油田開発とともに重要なのは、安全な輸送ルートの確保である。中国は壮大な海上ルートと陸上ルートの開発を急いでいる。海上ルートでは、まず、第1に軍備を拡大して、東シナ海、南シナ海、インドネシア周辺からアメリカ海軍を追い出し、中国船が自由に航海できるようにする。つまり、そこを中国の海にするわけだ。
第2にミヤンマーの沿岸、スリランカ南部、パキスタン西部等の3カ所に大型港湾と大規模な海軍基地を建設して、インド洋の制海権を握り、輸送を安全にする。第3に、将来、タイのクラ地区にインド洋と太平洋を結ぶ運河(長さ42キロ)を建設して、マラッカ海峡を通過するリスクを減らす。
供給ルート確保へ強気
陸上ルートについては、中東やアフリカの石油を中国の西部や南部に輸送するパイプラインや高速道路の建設計画が進んでいる。その1つはミヤンマー南西部のアラカン州から雲南省へのルートであり、もう1つはパキスタン西部のホルムズ海峡の近くにあるグワダル港を拡大して、カラコルム山脈を貫いて、中国西部へのルートである。
中国は、ミャンマーが国際的な経済封鎖を受けてきた時に経済援助を続け、またパキスタンやイランとの関係も良好であり、イランには原子力技術を輸出した。中国の進出に対して、インドやアメリカは警戒しているが、中国は、資源の供給ルートの確保が将来の存立に関わるから強気である。尖閣諸島問題は世界規模の石油戦略の一端を占めているから、安易に妥協しないだろう。