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9月6日
ホルムズ海峡危機への対応
封鎖招く二つの要因
ホルムズ海峡の危機を予想する専門家が増えている。アメリカとイスラエルはイランの核濃縮プラントの完成を恐れて、軍事的圧力を加えているから、イランは、対抗上、ホルムズ海峡を機雷投下によって封鎖するというのだ。
世界の原油供給の20%、日本の75%がここを通過する。もし、通過不能になると、日本は半年ぐらいで、原油備蓄を食いつぶして、深刻な電力不足に落ち込む。また原油価格は瞬く間に2倍以上に高騰して、工業製品のコストが上昇し、また日本の貿易収支は確実に赤字になる。
その結果、日本経済の信頼性が失われ、国債が売れなくなり、日本経済は深刻な危機に直面する。政府や企業は、ホルムズ海峡危機に対応できる電力供給措置を検討すべきだと主張するエコノミストもいる(例えば、一橋大学の小林慶一郎氏)。
ホルムズ危機を引き起こす要因には、二つある。その一つに、イスラエルがイランの核濃縮プラントの完成を恐れ、それを先制攻撃する可能性がある。アメリカの大統領選挙では、選挙結果を左右する程、巨額なユダヤ資金動くから、選挙前後にはアメリカ政府は内外のユダヤ教徒の主張には強く反対できない。イスラエルはその機会を逃さずイランを攻撃する可能性があるという。アメリカで多い見方だ。
イランは、ホルムズ海峡を封鎖するとアメリカを脅し、イスラエルを牽制させる。事態が切迫すれば、実行する。機雷はアメリカの掃海艇によって短期間で除去されるが、イランは再投下の機会を探り、再封鎖する。
もう一つの要因は、シリアの内戦である。自由シリア軍はばらばらな戦闘集団であって弱体だが、サウジアラビアやトルコなどスンニ派諸国の援助によって内戦が長期化しており、やがて、スンニ急進派が規律を厳しくして強力になり、アサド政権支持のシーア派を完全に壊滅させるかもそれない。
イランは、それまでに核濃縮プラントを完成し、核の力をバックにしてシーア派の勢力を守りたい。アメリカはイランの核武装を抑えるために、経済封鎖と軍事的圧力を強め、イランはホルムズ海峡封鎖で応ずるだろう。
欧米離れが進む中東
こうして緊張が高まっている時、エジプトのモルシ大統領は、まず経済援助を期待して中国を訪問して、次いで非同盟諸国会議に出席のため(8月末)、エジプト大統領としては33年ぶりに、国際的に孤立しているイランを訪れ、わずか数時間の滞在だったが、イラン大統領と堅く握手した。
モルシ氏は穏健なスンニ派で反アサドであるが、スンニ急進派のシリア制覇だけは避けさせたいと思っている。急進派はイスラエルを攻め、中東の大戦争を起す可能性があるからだ。
彼は中東の事件を、かつての支配者だった欧米諸国と関係なく、中東諸国で解決したい。次には、反アサドの大国トルコと、シリア内戦終結の方法を探るだろう。彼はアメリカを訪問していない。中東の欧米離れは意外に早く進み、中国が影響力を増している。残念ながら、日本の影は薄い。