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3月22日
人口危機を克服する方法
女性の就業率向上が鍵
日本経済にとって最も深刻な問題は、生産労働人口(16歳から64歳)の激減である。人口問題研究所の推定(05年基準)によると、2030年までに1400万人、50年まで3600万人が減り、その間に、老年人口は増える一方である。今後、日本経済は縮小し、所得が減り、確実に貧しくなるだろう。それを防ぐには、まず女性の就業率の向上と、誰でも70歳まで働くという慣行を築くことだ。
日本企業の特色は、長期雇用、企業内教育、年功序列・定年制にある。女性は結婚退職する可能性があるという理由で、なかなか重要な仕事には就けない。育児休暇の間は昇進がなく、仕事に復帰した時には、同期入社の男性より賃金が低い。復帰を認めない企業が少なくない。
女性(大卒)は、出産・育児によって6年間仕事を離れた場合には、生涯で2億円ぐらいの所得損失になり、その上に、育児・教育費がかかる。結婚や出産しない女性が増えるのは当然である。
男女賃金差別をなくすためには、年功ではなく、職種・技能・成果に応じて賃金を支払う慣行が必要だ。働く人は、大学等で専門知識をマスターし、企業に勤めた後も専門的技能を磨き、その幅を広げることが重要である。
グローバル化した企業では、その企業内で独特な技術を磨き上げた人と、どの企業でも通用するだけの専門的技術を持っている人が必要である。企業は、賃金を年功ではなく、専門的技術のレベルや成果によって決めようとするはずだ。
そうなれば、女性の賃金も実力によって決まり、優れた技術の持ち主は職場を見つけやすい。保育・育児の専門家に対して、それに相応しい賃金が支払われれば、待機児童問題は解決され、育児期にある30歳代女性の就業率は高まるだろう。また定年が廃止され、65歳以上でも専門能力と成果に応じて賃金が決まるようになると、働く男女老年層が増え、将来の年金減額にも耐えられる。
重要性増す大学教育
大学も大きく変化するだろう。5年先には、秋入学の大学が増え、高校卒業後すぐ大学に入学する学生と、秋までボランティア活動、海外での語学学習、読書の生活等、自由な時間を過ごした学生とを同時に教育する。英語による授業が増え、また留学生と日本人学生との友情の輪が広がり、外国文化を知り合うようになる。永住する外国人が増えるだろう。 大学は、留学生の教育や、社会人の専門教育にも力を入れ、また教授陣には社会人出身、女性、外国人を増やして、時代の要請に応える教育内容にすべきだろう。
春・秋卒業制になると、企業は春の一括採用を止めて通年採用に変わり、必要な時期に必要な人員を採用するはずだ。その時には、企業は男女、新卒者・社会人、国籍を問わず、実力に応じて採用するだろう。企業内教育が減り、大学教育の重要性が一段と増す。
こうした結果、専門分野で活躍する女性が増えて、就業率が男性並みに高まり、また健康な男女が70歳まで働き、日本経済は人口危機を乗り切ることができる。