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2月23日
中国・迫る統治システムの改革
高成長時代終焉か
中国経済が発展すると、統治システムに欠陥が現れた。中央政府と省政府の政策が、一致しないことが多いのである。
省長は中央政府から任命され、省のGDP成長率等の目標が与えられる。任期5年の間にそれを確実に達成するため、無理をすることが多い。
例えば、省内の多くの企業に投資の拡大を勧める。省内の国営金融機関に必要資金の融資を強く要請し、企業を保護する様々な措置を実施する。それによって省の経済成長率が上昇し、雇用が増え、中央政府からの評価が高まる。 そうした結果を国民経済の立場から見ると、過剰投資によって経済が過熱して物価が上昇し、また社会資本の歪みが拡大して、深刻な環境汚染や交通渋滞が起きているのである。省長が長期的観点に立ち、バランスがとれた政策を実施できる仕組みに変えなければならない。
中国経済の高成長時代は間もなく終りそうだ。一人っ子政策によって、生産人口が全人口に占める割合が、2015年から下降トレンドに入り、住宅需要や個人消費が伸びなくなるだろう。
沿岸の大都市には、地方の農村からの出稼ぎ労働者が永住している。悪いことに、近い将来、内需の伸びが衰え、かつ労働集約的な産業が、沿岸地域からベトナムやカンボジャ等の低賃金國に移転して、失業が増大する恐れがある。貧しい人が一層貧しくなる可能性が大きい。
今後の中国にとって最も重要な課題は、年金、医療保険、失業保険等の社会保障制度の充実である。しかし、中国には、経済成長に邁進する機構は存在するが、民意を反映した社会保障を創る組織が欠けている。
また、生産人口が減少する中で、社会保障のファンドを稼ぐには、新技術の開発によって生産性を向上させることが必要だ。ところで中国は模造品大国であって、外国の知的所有権を侵害してきたが、現在は、火の粉が国内に降り注ぎ始めた。国内企業は新製品を開発しても、直ぐ模造品が出回るので、技術開発意欲を失っている。中国経済の生産性が低いのは、そのためだ。
司法の独立不可欠
省政府は、今まで模造品を黙認してきた。省内の企業が、需要の大きい模造品を生産すれば、省のGDPは増え、雇用が拡大する。その上、住民は安い模造品を使って生活を向上できる。模造品生産が拡大すると、省長の成績が上り、栄達の道が開ける。
中国は独裁国家であって、三権分立制度がない。省長は省の判事を任命し、また裁判の効率性をチェックする権限を持っている。判事や弁護士は評価され、昇進や報酬が決まる。そのため中央政府が模造を取り締まろうとしても、省が見逃し、訴えられても軽い刑になるから、成果がでない。
司法の独立が必要である。中国政府は、統治システムの根本的な変革が迫っていることを知っており、次期政権は実に難しい課題を背負うことになる。