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1月26日
中国留学生のための大学改革
異なる需要や市場構造
20年ぐらい前まで、中国では日本研究が盛んであり、官僚も経済学者も、日本の産業政策、金融制度、日本的経営、従業員訓練等を学んだ。それとともに、日本語を自由に話せる若者が増えた。
ところが、日本経済が衰退し、中国が世界の工場になるとともに、日本から学ぶことが少なくなった。また、世界の外交・軍事は米中の2極時代に移り、世界の経済は間もなく米中印の3極時代になりそうだ。日本政府は外交的な発言力が弱く、核兵器もない。
つまり、日本は、中国にとって深く研究するに値しない國になった。日本研究を希望する若者が減り、政府系の最大シンクタンクの日本研究所では、予算も人数も伸びない。その上、日本では多くの企業が日本の大学を卒業した中国人を正社員として採用しなかった。中国では一流の大学でも、日本語学科の受験生が減っている。日本は遊びに行くところに変わった。
ところで、最近、日本の事情が変わり、企業は優れた中国人社員が必要になった。世界市場では、トヨタ、ホンダでさえ、現代、フォルクスワーゲン、GMに対して劣勢になった。日本の企業は新興国への進出が遅れた上に、独特なニーズを掴みきれなかった。
例えば、中国では価格が重要であり、新モデルより、価格が低い旧モデルの方が売れることが多い。また故障が絶対に起きない高額車より、故障が起きるかもしれない低額車の方が売れる。中国には腕利きの修理屋が各地に存在し、簡単に修理してくれる。日本における需要や市場構造とは異なるのである。
日本の多くの産業では、国内市場が縮小しており、期待は中国市場や東南アジア市場(華僑が経済力を握る)にかけられている。そこでは、中国人が現地の事情を理解したり、有力者へのネットワークを築いたり、従業員の気持ちを掴んだりする力に最も優れている。
日本の企業は、優れた中国人を中国や東南アジアの系列企業のトップや幹部にしたい。彼等が日本の新鋭技術を駆使して新商品の開発や効率的生産を行い、また人的ネットワークを利用して販売網を築けば、強力な現地企業が生まれるはずだ。
労働力不足カバー不可欠
ところで、優れた頭脳をもつ中国人は、アメリカやイギリスの大学に留学して、現地で就職したり、母国の大企業に勤めたりしている。彼等を日本の大学へ引き寄せるためには、卒業後にしっかりした就職先があり、かつ日本の企業で役員以上に昇進する可能性があることだ。
最近、国際的大企業では、中国人の正社員が増え、中には、新入社員の10%近くが中国人という企業もある。近い将来、中国人役員が続々誕生するだろう。日本の労働力は今後減る一方だ。それをカバーするためには、優れた中国人が必要であり、日系企業は中国子会社の経営を中国人に任すようになった。
日本の大学は、優れた中国人が留学する条件が整ってきたのに応じて、改革が必要だ。英語による講義、中国人学生と日本人学生がともに生活する学寮、中国における入学試験、中国のエリート中学や高校への日本語講座の寄付、秋入学がそれである。