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1月23日
進む「中国的民主化」
企業育成成功した仏山市
多くの中所得国は経済低迷という罠に落ち込んでいる。低賃金と古い設備によって廉価品を生産して中所得国まで成長したが、高付加価値品を開発できず、また生産性を向上できない。「罠」の原因には、経済の実力以上の賃金上昇、質の高い労働力の不足、政府の過剰介入があげられる。
中国・広東省の仏山市は、広州市や深玔市から遠く離れ、自然資源に恵まれない人口700万人の貧しい都市である。かつて落ち込んだ「罠」から抜け出す方策として、市長は20年前に、市当局が売り上げを保証し、かつ管理者、技術者、熟練労働者、資金を外部から集めて、多数の民間企業を育成した。
中国では、毎年600万人が国内の大学を(日本では60万人)、23万人がアメリカの大学を(日本では2万人)それぞれ卒業し、優れた人材が職を探している。
仏山市の企業数は約3万社に増え、市はそれと同時に公共事業を全て公開入札にした。その数は最近9年間で500件に達し、発電所、浄水場、廃棄物処理場などの大型プロジェクトが含まれている。
市内の企業がその多くを受注し、部品生産や下請けの仕事が激増した。この制度によって、建設費の低下、雇用が激増という効果が生まれ、市の一人当たり所得は1万5千ドルに上昇し、EUにおける低所得国を抜いた。習近平政権は仏山市の実績を高く評価し、市場経済化と権限の下部移転の必要性を強調した。
ところで、経済成長によって中産階級が膨張するとともに、政府に対する要求が多様化し、また地域や職種によって要求が対立する場合が多くなった。もはや独裁者の号令によって動く時代は過ぎ、政府は世論に配慮している。
まず、政府の仕事を減らし、かつ中立性を維持するために、政府や党から独立した仲裁機関や裁判機構が設けられる。また、政府は民間の専門企業5万社と契約して、全国にわたって住民の要望、不満、環境汚染、消費財の需要動向などを調査し、それを政策に反映させ、また共産党員の人事評価にも利用しているという。
住民が強く反対した計画は、中止されるケースが増えた。民主化の動きが次第に強まっており、間もなく、共産党幹部は内部の選挙で決まるだろう。
軍事開発も外国技術導入
ところで、中国経済が発展して、大型投資が世界に広がると、軍事的なバックが必要になる。中国は、新しい軍事装置を開発する時、平気で外国技術を導入している。例えば、「10年後に歩行ロボットを月面に着陸させる」という国家目標を建てると、国営研究所は優秀な技術者を集め、ロシアと技術提携して生産し、その後、数年かけて綿密なテストを繰り返し、完全な製品に仕上げるのである。軍事技術の進歩は早く、軍事力は強大になった。 中国が市場経済化と民主化に向かい、かつ軍事力が向上すると、戦争疲れしているアメリカは、中国を、太平洋を二分して支配する重要なパートナーになると考え、密かに手を握る恐れがある。