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1月9日
「戦勝国」になれなかった中韓
謝罪めぐる複雑な状況
20世紀の戦争では、多くの国の軍隊が非人間的な方法で敵側の民間人を大量に殺戮したが、それを謝罪した国は一つもなかった。例えば、アメリカは、第2次大戦で日本に2つの原爆を投下し、また殆ど全ての大・中都市を無差別爆撃したが、それは勝つための正当な手段だったと主張している。
戦勝国は、敵国の兵士と住民を大量殺戮した上、戦争犯罪人裁判を実施し、敗戦国の領土を削り、賠償を取って、満足しているが、他方、敗戦国は再起不能の酷い仕打ちを受けて深い恨みを抱いており、謝罪の観念は全く生まれない。ドイツは、600万人のユダヤ人を虐殺したが、その責任者はナチ党員であってドイツ人ではないという理屈を貫き、ナチ党員の行為に限って謝罪した。
先進国は、膨大な植民地を支配して住民を奴隷のように扱ったが、独立後の植民地政府に対して、謝罪した国は1つもなかった。フランスは、現在でも、旧植民地に軍隊を派遣して影響力を行使している。国際的な慣習に従えば、日本は、中国、韓国、東南アジア諸国に対してすでに実質的な賠償を支払っているから、謝罪する必要がないはずだ。
しかし、日本をめぐる状況は複雑だった。アメリカは日本を徹底的に破壊し、長期間占領しアメリカ化に成功し、満足している。しかし、中国では、日本に勝ったのは国民党政府であって、現在、中国を支配している共産党政権は十分な勝利の報酬が得られず不満である。
韓国では、日本の植民地だった時、海外に臨時独立政府を樹立していなかったから、アメリカ軍によって日本の一部として占領され、戦勝国になれなかった不満が、現在まで残っている。
靖国神社は、1978年に、突然、連合軍の軍事裁判によって処刑されたA級戦犯を合祀した。残念ながら、敗戦当時の日本は、自ら戦争責任者を追求し、裁判する意欲に欠け、その結果、現在まで、A級戦犯を敗戦の犠牲者だと考える人と、第2次大戦を起こした責任者だと判断する人の対立が続いている。大戦では、300万人の日本人が死に、1千万人を超える中国人が犠牲になり、東南アジアでは数百万人の人が亡くなった。
「靖国」は不満のはけ口
中国・韓国の両国は、日本に対して確固たる「戦勝国」の位置を得られなかった不満のはけ口を、首相や大臣による靖国神社参拝の批判に絞っている。それは靖国への首相の参拝に反対する人は日本にも多いから、内外の批判が合流して、日本の政治的統率を弱めるというメリットがあるからだ。安倍首相は、逆に多数派である賛成者の支持によって政権が強まると判断して、故意に中韓が待ち構える罠に飛び込んだ。
日本の経済力が過去20年間も停滞している間に、中国の軍事力は10年以内にアメリカに対抗できるほど強力になり、韓国は一流の工業国へ発展して、それぞれ世界世論に大きな影響を与えている。
中・韓が首相の靖国参拝に反対するのは内政干渉であるが、今後、危険な摩擦を避けるため、A級戦犯の分祀と、旧日本軍を謳歌している遊就館を神社境内から移転することが、絶対に必要である。