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7月23日
ギリシャ問題 鍵はドイツ
許せない贅沢な債務者
粉飾会計によって騙し、低金利になった時に多額な借金をして、分を超えた贅沢な生活を送って浪費し、借入金の返済が不能になった債務者は許せないものだ。
ギリシャ問題はこれに当たり、通貨がドラクマの時には金利水準はほぼ2桁だったが、財政を粉飾してユーロ加盟に成功すると、信用力が上昇して、数%の低利国債が好調に売れた。政府はその資金によって、公務員賃金や年金を引き上げ、国民はゆとりがある生活を送った。これに対し、ドイツの銀行はその国債を引き受けて資金を供給し、企業は高級車や高級家具をギリシャに売った。ギリシャの経済が行き詰まると、今度は、ドイツの銀行が大型な融資を行って金利を稼いだ。
ギリシャは、緊縮財政を実施したので、マイナス成長が続き、2014年にはデフレ経済の兆候が現れた。しかし膨大な借入金の期限が次々に到来した。政府は財政支出のカットと預金の引きおろし制限等によって耐えているが、すでに若者の失業率は50%を超え、経済は急速に縮小して死に体になってしまった。
ギリシャの救済には緊急融資が必要であるが、ギリシャ政府は、過去の言行不一致がたたり、ガバナビリティーを疑われ、ユーロ諸国は緊急融資に消極的だった。
今月中旬に開かれたユーロ外相会議は17時間も続き、ギリシャが付加価値税や年金の大改革と、電力や空港など公共施設を借入金返済基金に繰り入れることの法制化を承認し、ユーロ側は、11兆円の金融援助に合意した。この会議はユーロ主要国とギリシャの間で、欠けていた信頼性が確立されたという重要な意義があった。
しかし、問題はこれからだ。前向きな救済政策を実施しなければ、ギリシャ経済は縮小し続ける。まず、行財政改革や外資導入政策が必要であるが、同時に、返済期間の延長、金利や債権の減免が望まれ、中でも債権減免が最重要である。
国債減免なら金融混乱
ところが、ギリシャ国債が減免されると、スペインやイタリア等の経済が弱い国の国債も減免されるという思惑が働き、国債価格が暴落する可能性がある。欧州中央銀行(ECB)は、買い支え資金を潤沢に供給することを決めているから、暴落を防げるだろう。
問題は国債を減免した場合の被害である。ギリシャ国債の約50%はギリシャ以外の国が所有しており、公的債務全体が半額にカットされると、ドイツは約5兆円近い被害を被り、金融が混乱するだろう。
ドイツは財政赤字を本能的に嫌い、財政黒字、貿易黒字を堅持している。そのため、各メンバー国が財政赤字を一定の枠内に収めるというユーロのルールに固執し、ギリシャに対する公的負債の減免に反対である。
ギリシャ経済救済策に関して、これから激しい議論が始まるが、ユーロ諸国は、ギリシャで利益をあげたドイツこそが、応分に負担すべきだと考えている。議論が拗れると中国やロシアが介入して、条件が緩い経済援助を申し入れ、NATO(北大西洋条約機構)からの脱退を望むだろう。それを止める方法は、ドイツ・フランスが軸となってギリシャ経済を再生することしかない。