マネートーク 日本経済新聞 2003年1月
日本経済再建策と投資のツボ
インフレに備え株の勉強を
―日本経済は何故ここまで落ち込んだのか。
「1970年代後半が日本のピークだった。後れを取った米国は人種差別解消に努め、移民も受け入れて経済基盤を強めた。中国もロシアも市場経済化に転じ、欧州も市場統合を進めた。この間、世界で変わらなかったのは日本と北朝鮮、キューバだけだ。子供が親の面倒を見なくなり、年金、介護など社会保険コストは膨らむ。経済が破綻しても平等社会を維持しているのが今の日本。要は社会主義なのだ。」
―どうすればよみがえるか。
「足元の最大の問題は不良債権処理とデフレの克服だ。銀行トップの責任はこの際問わず、早急に公的資金を銀行に投入し、体力を回復させる。円安政策もデフレ圧力を緩和する。しかし一番重要なのは社会主義的な政策を改め、徹底的な規制緩和を進めることだ。経済特区は有効な手段だ。」
―医療、教育特区は骨抜きになった。
「教育特区なら外国の学校をどんどん誘致する。外国人の先生が小中学校で自由に教えられるようにする。医療特区は保険外の高度医療も拡充し多様なニーズに対応する。外国人の医師を受け入れ、アジアからも患者を呼び込めばいい。」
「月7万5千円くれれば日本で働きたいという中国人は沢山いる。特区で中国人を雇用すれば、日本企業も低コストで製品を作れる。中国に拠点を移す必要もない。道路財源も空港に回し、成田や羽田、関西国際空港の着陸料を数分の一にする方が、活性化効果は大きい。」
―個人はどんな資産運用をすればいいのか。
「遠くない将来にインフレが来る。日銀はデフレ脱却のためインフレ目標を掲げ、株式や土地購入に踏み切る可能性がある。不良債権の処理を終える頃がインフレ到来の時期だ。」
「インフレに強いのは株式だから、個人は今から株式投資の準備をすべきだ。不況下でも増益企業はある。注目銘柄の過去の株価推移を調べ、自分なりの売買基準を作ってはどうか。リスク分散のため、資産の2割程度は海外にも振り分けたい。経済成長が続く中国株や堅調なユーロ建て資産に投資するのも一法だ。」