価値総研「Best Value」

2007年1月

アメリカ経済のぼんやりした不安

1. 楽観的な短期見通し

経済の見方には、短期的観点と長期的な観点がある。所謂「景気見通し」は、専ら短期的な変動要因を検討し、1年ぐらい先までの景気を展望している。現在、景気見通しをする時、押さえるべきポイントの1つは、アメリカの経済動向である。それは、今まで日本の景気が輸出にリードされててきたからだ。

アメリカでは、最近10年間、住宅ブームが続いた。住宅ローン金利は損金扱いだったので、住宅投資をすると節税効果が大きかった。その上、住宅を買うと、間もなくその価格が上昇した。

しかし、昨年から、住宅価格が早いテンポで下がり始め、住宅ブームは遂に限界にきたように思われる。アメリカ人はローンを利用して消費を増やしている。住宅を担保にしたローンは、普通のローンに比べると金利が低い。住宅価格が上昇したので、ローンの借り入れ限度額が増え、それが消費を刺激した。 もし、住宅が過剰になり、その結果、住宅価格が下がったならば、これから、住宅投資と消費は大幅に減るはずだ。アメリカ人の貯蓄性向はマイナスであるから、消費者ローンの限度額が縮小すると、直ちに消費が減少するに違いない。こうして考えると、景気は間もなく、下降に転ずる可能性が大きい。

しかし、次のような反論がある。まず、住宅担保ローンを利用しているのは、中流階層であって、裕福層の消費意欲は少しも衰えてず、多額な消費を続けている。次に移民人口が増えているので、住宅過剰が生じたとしても、それはごく一時的な現象に過ぎないだろう。また、株価が上昇している。それが住宅資産の価格減少をカバーしており、消費者のの資産総額は減っていない。

世界のマネーの動向を見ると、過剰資金は、アメリカの住宅資金市場を去り、原油市場、アメリカの国債市場へ、次に株式市場に移動した。その結果、長期金利が低く、株価が高いという好ましい状態が続いている。

どの要因を重くみるかは、エコノミストの腕である。無難な見通しは、アメリカ経済は、現在、緩やかに住宅バブルを脱し、ソフトランディングに向かっているというところだ。

日本の景気は、輸出と設備投資の伸びに支えられて、いざなぎ景気を抜く長期上昇である。輸出については、アメリカ経済がソフトランディングの方向にあるが、対中輸出が伸びるから、全体としていくらか増加するだろう。

設備投資は伸びるだろう。それは、企業収益が高い水準にあり、かつ、設備の平均年齢が長くなり、更改投資が必要になっているからだ。

日本の景気は、息が長い上昇過程にあるといっても、増加しているのは、輸出と設備投資だけだ。公共事業は激減している。航空機の離陸に例えれば、輸出と設備投資の増加によって、前輪が浮き上がったが、公共事業の減少が逆噴射として働き、また肝心の個人消費が増えないので、離陸できない状態だ。

労働力不足が目立っている。また企業収益が未曾有の大きさである。しかし、賃金が上昇すると予想する人は少ない。というのは、まず、生産性が低い業種や単純な仕事に就いている人は、中国など低賃金国との競争に追い込まれ、賃金が上昇しないからだ。また労働組合がすっかり弱くなり、賃上げを実現する力を欠いている。勤労者は、経営者に各個撃破されているのだ。その上、高齢者が低い賃金で働くようになった。

こうして、考えてくると、日本の景気は昨年より、少し悪くなり、実質で見て、2%弱の成長になりそうだ。

2. 巨大な対外債務国・アメリカ

ところで、景気見通しの中でも、長期的な展望のもとで、判断すべき点が少なくない。しかし、それらをいちいち検討したならば、一年ぐらいが瞬く間に去ってしまう。そこで、普通、日本を巡る経済環境は、殆ど変わらないという前提のもとで、見通しを立てている。右に述べた見通しは、その代表例だ。

長期的な展望が必要になる例を挙げてみよう。この号では、まず、アメリカ経済を取り上げよう。それは、アメリカ経済には、とんでも無く大きな危機が潜んでいるからだ。

アメリカ経済の特色はまず過剰消費である。簡単に言えば、毎年、生産以上を消費しており、不足分は輸入されているのだ。経常収支は、1960年代以来、7年間だけ黒字であり、残りの40年間はすべて赤字であり、赤字額は増加する一方だった。

2006年後半には、経常収支赤字は年率で9000億ドルという巨額に達し、その対GDP比は8%になった。1985年に、アメリカが、経常収支赤字の拡大によって経済危機に落ち込み、日・独・英・仏等、主要4カ国の協力強力によって救われた。(プラザ合意)、その時、この比率は3,5%だった。現在の赤字が、如何に大きいかが解るだろう。 アメリカ経済の不安は、近い将来、ドルの国際通貨としての地位を失うかもしれないということだ。本来のキーカレンシー国は、経常収支が黒字であり、その黒字を資金源として海外投融資を展開するので、資本収支は赤字になっている。かってのキーカレンシー国・イギリスは、貿易収支は赤字であったが、膨大な海外投資の結果、巨額な配当や金利収入があったので、経常収支は黒字だった。ところが、現在のアメリカは、経常収支が大赤字、資本収支が大黒字であえい、まことに奇妙なキーカレンシー国である。

アメリカは、ドルを印刷すれば、それによって、輸入を増やすことができる。円が国際通貨でないから、日本はまず物を生産・輸出してドルを手に入れ、それを使って輸入しなければならない。アメリカはドルを印刷するだけだから、殆ど無料で外国の物が手に入る。

つまり、アメリカはドルを増発しさえすれば、いくらでも輸入を増やすことができるから、経常収支の赤字が拡大しても、さし当たって困ることはない。赤字を減らすために、緊縮政策を実施すれば、企業収益が減少し、失業が増大する。政府は緊縮政策を避けたい。

アメリカの輸入が減少することは、アメリカ以外の国にとっては、輸出減少を意味している。それは好ましいことではない。また、発展途上国はドル建てで借金している。アメリカが緊縮政策を実施すれば、ドル建て借金の金利が上昇するので、国家財政が破綻するかもしれない。

このような事情によって、アメリカの経常赤字は拡大に一途を辿らざるを得なかった。アメリカは政治大国であるから、輸入が拡大して国内産業が危機に落ち込むと、輸出が多い相手国政府に対して輸出規制を強く迫ることができる。

また、輸出圧力を減らすために内需拡大政策を要求するといった手荒な経済外交政策を展開できる。アメリカの経常収支赤字に対する対策は、こうした外交だった。

3. アメリカの腕力

少し古い話になるが、オイルショックは2回発生したが、79年における第2回目は、価格引き上げ巾が大きかったので、世界経済は深刻な打撃を与えた。巨額な富が原油代金として中東産油国に移転したので、工業国の経済は、それだけの購買力が失われ、不況に陥った。

日本政府は、原油価格上昇に対して、緊縮政策を実施し、物価の上昇を抑えた。幸いなことに、省エネ技術が目覚ましく発展したので、2年後の81年には、経常収支の大黒字国に戻った。

これに対して、アメリカには、キーカレンシー国のおごりがあって、経常収支の赤字が拡大しても、それほど苦にしなかった。

レーガン政権は、1981年から83年にかけて、原油価格の上昇に伴う「インフレ下の不況」を克服するために、所謂レーガノミックス政策を実施した。

まず金融を引き締めて、インフレを退治し、つぎに所得税と法人税を大幅に引き下げた。そうすれば、消費が伸び、設備投資が増え、企業収益が増大し、結局、税収が増えるはずだった。

しかし、夢のような政策は成功するはずがなかった。財政赤字と経常収支赤字が膨張しただけだった。しかし、高金利に惹かれて、海外から潤沢な資金が集まり、非常なドル高になった。その結果、アメリカは、ごく短期間で、金融大国であり、かつ未曾有の債務国に変わった。

ドル高・円安のもとで、自動車、テレビ、半導体、鉄鋼始めとするアメリカの重要産業は日本企業等との競争に破れ、工場が次々に閉鎖され、大規模なリストラが実施された。アメリカ政府は、こういう事態を見過ごすことはできない。

そこで、アメリカは、日本の対米輸出を圧縮しようと様々な策略を巡らした。まず円が狙われた。そのため、1983年から、日米通貨交渉が始まった。

日本に対するアメリカ側の主張は、金融の自由化だった。金融を自由化すれば、海外資本が、相次いで日本に投資するから、円高になるはずだった。しかし、実際には、国際的な資金移動が自由化されると、円資金は高金利のアメリカに向かって流れ、かえって円安になった。

そこでアメリカは、主要5カ国が市場でいっせいに介入してドルを買い、かつ協調して金利引き下げ政策を実施することを要求し、合意を取り付けた(85年10月のプラザ合意)。直ちに大量のドル買い介入が実施された。円は、それから1年半の間に1ドル240円から160円に上昇したが、Jカーブ効果のため、アメリカの対日赤字は減らなかった。

そうした時、ドル不安が拡がり、1987年にニューヨーク証券市場で株価の暴落発生した(所謂ブラックマンデイ)。アメリカ政府は、ドルと株価の暴落を防ぐには、市場で円やマルクを売り、ドルを買い支えたい。

ところが、アメリカは、キーカンレンシー国であるから、そもそも円やマルクを持っている必要がなかった。結局、日本政府が、アメリカ政府に円資金を貸し、アメリカ政府はそれによって、円売り・ドル買いを実施して、ドルの暴落を防いだ。

アメリカ政府は、市場介入だけでは、対日貿易赤字の拡大を防ぎ切れないことを覚り、次に日本政府に対して、内需拡大政策、つまり低金利政策と財政拡大を迫った。日本側は、その要求に応じ、86年から翌年までに、公定歩合を4,5%から2,5%に引き下げ、かつ86年には、それまでの財政圧縮政策から拡大政策に転じた。2,5%に超低金利は2年2ヶ月も続いた。

その結果、気がついた時には、日本経済はバブル経済に突入していた。90年代にはその収拾に失敗して、「失われた10年」に苦しんだ。日本の経済力はすっかり弱まり、80年代前半までの素晴らしい成長力は影も形も消えてしまった。アメリカは、手荒な経済外交政策が効力を奏し、債務大国に落ち込みながらも、IT始めとするハイテク技術の開発力によって生き返った。

4. 中国への経済力移動

アメリカには油断があった。中国は1980年代に入ると、市場経済を巾広く導入し、外資の力を利用した急速な経済成長を開始した。しかし、未だ発展途上国の段階にあった。ソ連は91年に消滅し、市場経済の国に変わり、共産主義国は、キューバと北朝鮮だけになった。日本経済は失速し、低成長国に変わった。90年代には、アメリカ一国支配の世界経済が完成したように思われた。

ところが、中国はずっと10%成長を続け、ついに、世界の工場に成長した。世界の市場では、パソコン、テレビ、繊維・雑貨、家電、鉄鋼を始め多くの工業製品が、中国の供給力に依存している。中国に続いて、インドが10年以上も平均7%の成長を続け、ソフト産業の大国になった。

中国やインドの強さは、良質の低賃金労働者が無限に存在することだ。最近では、主要な工業製品がモジュール化したので、マニュアルを用意しさえすれば、良質な労働力が存在する地域では、低コストで生産できる。また、IT技術が進歩し、生産・在庫・出荷等の情報が瞬時に伝わるので、外国に立地している工場でも、世界の市場の変化に応じたきめ細かい対応が可能だ。さらに、物流とロジスティックの技術が目覚ましく進歩した。

アメリカの大型スーパーの本部には、全国に展開している店舗から、品目別売り上げや在庫情報が即時に集まってくる。品目数は10万近くなるだろう。それらは、中国等における数万社の契約企業に対して、納期の日時をはっきり決めて発注される。中国企業は無理が効く。24時間操業で仕上げてくれる。それら製品は、重量や価格等の特色に応じて、航空便、船便、自動車便が巧みに組み合わされて、短期間で、アメリカ国内の物流センターに集められ、品目毎に仕分けされ、全店に配送される。こうした複雑なロジスティックスのソフトは、インドで制作されている。

5. 株主資本主義の退廃

アメリカでは、IT技術の驚異的な発達ともに、資産と企業の商品化が経済活動の隅々まで行き渡り、真剣な物作りに挑戦する企業が少なくなった。

IT技術の進歩とともに、金利、株価、キャッシュフロー等を扱う様々なモデルが開発され、リスクをヘッジしたり、レバレッジを効かせて、様々な特色を持つ金融商品が創造された。
リスクをヘッジする技術が高度化すると、どんな資産でも、利益を生みさえすれば、証券化することが可能になった。また投資リスクを分散するいろりろな手段が開発された。ウォール街の投資銀行・証券会社・ファンド等は、それらを利用して次々に魅力ある金融商品をつくり、世界中から資金を吸収した。

その資金の利用方法の典型的な例としては、企業買収ファンドがあげられる。巨額な資金を集めたファンドは、企業の実力に比べて、株価が低い企業を狙ってを買収する。直ちに製造部門のリストラに着手して、無理矢理にコストを引き下げる。

それと同時に、販売部門を強化して、売り上げの拡大に努める。実質的には、企業の経営基盤が弱体化しているが、外見的には如何にも、収益力が高い企業が生まれたように見える。

ファンドは、早速、この企業を上場したり、増資したりして、膨大な金額を手に入れる。集めた資金を、高率な配当を付けて、返却してもなお、巨額利益が残る。リスクはこの株式を購入した小口投資家にすっかり移転されている。

こうして、企業はそこで営々と働いている従業員とは、全く関係のない人たちによって売買されるようになった。アメリカは、企業を単なる「物」として売買する、成熟した「株主資本主義」国になった。

株主にとっては、高賃金国であるアメリカに立地し、コストが高い製品を生産している工場は、全く価値がない。中国やインドで安く生産できれば、製品はそこから輸入すべきだ。またそこに工場を移転したり、そこの企業を買収したりすべきである。

アメリカ国内における従業員の失業や、工場が立地している地域経済の衰退等を気にかける気の弱い人は、経営者になれない。名経営者は国内の工場を切り売りしたり、閉鎖したり、また海外の企業を買収したりして、企業の収益性が高まったような装いにして、株価を高める人だ。株価が高くなった時、増資をすれば巨額な利益が得られる。彼も膨大な報酬を手にするのである。

アメリカでは、大株主が企業を物として扱うようになった。大株主には、ファンド、年金基金、生命保険等の機関投資家がいて、彼等は投資資金の利回りを高めることが任務であるから、経営者(トップマネージメント)や取締役(ボードメンバー)に対して、「物」である企業から最大の利益を絞り出し、この「物」を売買して、巧く儲けることを要求する。もし、それに失敗したならば、経営者を取り替えるのである。

6. 金融大国・債務大国

アメリカには、依然としてアメリカンドリームがある。情報や遺伝子を始めとして、目覚ましい技術進歩を遂げている部門が多い。誰でも、新技術を開発して、ベンチャー企業を起こし、成功すれば、巨額な利益を獲得できる。

また投資銀行やファンドに勤めて、企業売買や新金融技術の開発に成功すれば、膨大な額の報酬が得られる。世界の頭脳は、新技術の開発や起業を狙ってアメリカに集ってくる。
世界の資金もアメリカに集まってくる。最近数年間で原油価格が急上昇し、アメリカの輸入金額は急増したが、その支払代金は高収益を求め、ロンドン市場を通じて、アメリカの金融市場に流入した。

また世界の投資家は、日本の低金利資金を借り入れて、アメリカの金融市場で運用している。中国や日本の政府が持っている合計1兆ドル近い外貨準備金の過半は、アメリカの国債に運用されているが、国債購入のために支払われた資金の多くは、金融市場に環流しているに違いない。

アメリカでは、工場が中国に移転し、中国からの輸入がどれほど増加しても、海外からそれに匹敵する多額の金融投資が得られる。工場が海外に移転しても、世界から優れた頭脳が流入し、革新的な金融技術を開発してくれるから、さし当たっては、少しも困らない。

また、アメリカは中国製品の輸入によって、実質的には、かなり豊かになった。中国からの輸入額は年間約30億ドルである。アメリカの賃金は中国の15倍だ。

付加価値率を50%であるとすれば、中国からの輸入によって、アメリカで生産した時に比べて、年間、合計225兆円(30兆ドル×15÷2)も安い製品が供給されたことになる。それはアメリカのGDPの20%にも相当する大きさだ。

つまり、アメリカ人は、中国への工場移転や中国からの輸入によって、工場労働者は失業したり、賃金カットされたが、安い中国製品が街に溢れ、アメリカ人は豊かな生活を送ることができた。

7. 忍び込む危機

しかし、海外から資金の流入が増加していることは、アメリカの対外債務が増加し続けることを意味している。アメリカの製造業の多くは海外に移転し、GDPに占める製造業の比率は、たった12%転落してしまった。輸出額が多いのは製造業であり、投資銀行が海外における企業売買でどれほど多額な利益をあげたとしても、製造業が弱い限りは、経常収支の赤字が減らない。

アメリカの対外債務は、今やGDPの30%近くに達している。これからも拡大するに違いない。このままのテンポで拡大すれば、6~7年後には、GDPの80%ぐらいに達し、金利が5%とすれば、海外への支払い金利はGDPの4%にも達する。GDP成長率がマイナスかもしれない。

間もなく、世界の投資家が、アメリカが将来、金利を支払えない国になるかもしれないと判断して、ドル債権を売却する可能性がある。そうなった時には、雪崩を打ったように、世界の証券市場では、ドル資産売却が殺到するから、ドルは暴落し、またドル金利が暴騰して、アメリカに大不況が発生するかもしれない。
中国は、アメリカ的な政治や経済のシステムが世界に拡がることを嫌っている。それは中国の独裁政権下の制限された市場経済を崩す可能が大きいからだ。

ソ連はアメリカの一国支配体制を崩したい。巨大なエネルギー資源を武器として、ルーブルの信頼性を高めてルーブル決済の比率を高めたい。また、極力、ユーロを使い、ドル決済を少なくしたい。南米では、反米政権ばかりになった。彼等はドル決済をユーロ決済に変えたい。

これらの国々は、ドルの暴落は困る。できれば、徐々にドル支配を崩したいと思っている。

8. 歴史の力

歴史は、「盛者必衰の理」に従って動くものだ。経済力は高賃金の工業国から、低賃金国の中国・インドに移動している。

中国では上海市沿岸地域の大都市の賃金が上昇してきたが、内陸部には、11億人の貧しい人がいる。沿岸地方が豊かになれば、貧しい人が沿岸に移動するか、工場が内陸部に移動するかして、低賃金を利用した低廉な製品を世界市場に送るだろう。中国は貧しい人の数が多いので、かなり長く成長できそうだ。インドもそうである。

日本では、沢山の工場が中国や東南アジアに移動したが、最新鋭の模範工場を国内に残して、製造方法の改革に取り組めるようになっている。

また高級部品、高級素材、自動機械設備等、ハイテク技術を必要とする工場が増えている。これらの製品は中国に輸出されている。幸いなことに、日本は、アメリカに比べると、金融技術が非常に遅れているので、中国の成長に対応して、製造業だけは高度化できた。
ところが、アメリカの企業は製造業の現場を捨てた。世界の製造業の企業を「物」として扱い、金融的に売買しようとしている。そうした結果、アメリカは巨大な債務国になり、また金融、軍事、大学等の産業が強いという妙な経済になった。多分、世界経済に占めるアメリカ経済の地位は、弱くなっているのだろう。

なお、日本経済は非鉄製造業が弱いので、地位はかなり低くなった。その差額は中国やインドにいっている。 以上

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