アジア動向

静岡新聞論壇 7月17日掲載文

経済発展へ外国人支援を

人口減少で貧しい国に

人口構成が少子化・高齢化すると、経済力はかなり低下する。それは高齢者の生活を支えるために多くの資源が使われ、若年労働力への税負担が増えるからだ。また認知症の親を介護するため、働き盛りで退職する人が年間で20万人近くに達し、働ける人の数が一層減少している。

1980年代には、日本経済の労働生産性は世界一だったが、現在では20位台の半ばに転落し、韓国にも抜かれそうだ。日本経済の地位が転落するとともに外交的に弱くなり、中国と韓国から歴史問題を突きつけられている。

日本の人口は、毎年25万人ずつ減少しており、50年先には現在の3分の2に縮小する計算になる。その時には国内需要が激減し、雇用が減り、ハイテク産業が成長しても、そのマイナスをカバーできず、日本は貧しい国になる。

これを避けるためには、出生率を2.1に引き上げた上に、女性の労働力化が進んでも200万人以上の外国人労働者が必要である。政府は最近、専門的知識のある外国人の移民を認めたが、要求される知識水準が高く、また年功型賃金が嫌われ、期待した程には集まらない。数年勤めるとアメリカ等に流出し、流出超過の状態になった。

製造業の基盤は工場現場で働く高卒の熟練工にあるが、政府は彼らの移民を認めず、研修という名目で3年間(近く5年間に改正)だけしか働けない。また、介在する仲介業者に膨大な手数料を取られ、手取りが少なく、技を磨けないので、不人気である。

若い人は正確な日本語や日本の習慣を覚えるのが早い。外国人力士はその好例だ。台湾、韓国では、政府がアジア諸国から期間が10年間前後の移民労働を仲介し、かつ本人や受け入れ企業の希望を聞き入れる。人格に問題なければ、将来国籍も取れるだろう。アジアは経済成長の結果、労働力不足状態になり、優秀な若者は韓国や台湾に移民して、現地における製造業の現場を支えつつある。

永住の条件整えるべき

外国人労働者が日本で永住して、日本の経済成長のために働いてもらうためには、まず、日本語と日本の習慣をマスターすることが必要である。東南アジアの大都市の有名中学や高校に日本語講座を寄贈し、優秀な学生を選抜して補助金を支給し、日本の大学への入学や企業への入社を認め、大学では、さらに日本語教育に力を入れ、就職を支援し、永住できる条件を整えるべきだろう。また、大学はアジアのいろいろな民族の学生が相談しやすいように多民族の教授を採用する必要がある。

ところで、先日、私は近くに住む高校の後輩から、娘さんの縁談を頼まれた。昔の高齢者は近所や友人の縁談先を探し、結婚にこぎ着けるために、苦労を惜しまなかった。低い独身率と高い出生率の背景には、彼らの努力があった。

今や地域共同体は失われ、近所の家とも付き合わず、縁談を軽蔑する人が増えた。しかし、高齢者は社会への恩返しとして縁談に努力し、また日本経済の発展のために外国人留学生や移民を親切に世話する責任がある。

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