アジア動向

静岡新聞論壇 7月18日掲載文

韓・中の結合に対抗する方法

対日「領土」で急接近

韓国にとって、中国は最も重要な国になった。韓国の対中輸出額は総輸出額の25%を占め、対日輸出額の7%を遙かに超している。中国では、賃金の急上昇とともに国民の生活水準が向上し、高級品の内需が増え、韓国製の電子製品、乗用車、化粧品等の売れ行きが好調であり、韓流ドラマやKポップも人気が高い。

また、韓国企業の中国に対する直接投資が拡大し、サムスンや現代をはじめとする韓国大企業の工場が、中国各地で続々と建設されている。

ところで、韓国産業のハイテク化の基盤を支えているのは日本企業であって、高品質な素材・部品や超精密製品の生産設備等が韓国に輸出されており、最近では、ハイテク新鋭工場が続々と韓国に移転している。

東レの炭素繊維工場がその典型である。炭素繊維は航空機やロケットのボディー、自動車の車体、ロボットのアーム等に広く使われ、強靱・軽量であって省エネ効果が大きい。韓国では炭素繊維の需要が拡大し、かつ電力料金、法人税、人件費が低いのである。

ところで、韓国にとって、中国は販売市場としての他、次の2点で重要になった。その1つは北朝鮮の核武装である。アメリカはそれを防げなかったが、中国が圧力を加えると、北朝鮮の姿勢が直ちに軟化した。また、北朝鮮が南進しそうになった時、アメリカは北朝鮮の核攻撃を恐れて腰が引けるが、国境を接する中国には北朝鮮を押さえる力がある。

もう1つは、中国が領土問題を重く見て、歴史を遡って日本を激しく批判していることだ。その論法は韓国と同じであり、サンフランシスコ平和条約に何と書かれていようとも、竹島や尖閣列島は日本帝国主義によって強奪されたので、返せと言うのである。

慰安婦問題では、日本は1965年の国交正常化の時すべて解決されたと主張しているが、韓国は日本の謝罪の気持ちと個人賠償こそ重要だという。中国も国交回復の時日本の侵略に関する賠償は解決されたはずであるが、南京大虐殺等への反省と謝罪が足りないという。

日本はまず経済復活を

韓国は歴代王朝が中国の属国だったので、中国を好まないが、中国思想は骨の髄までしみ込んでおり、中国と同じ論理に立っている。これに対して、日本は欧米の影響を強く受け、協約の内容が全てだと考えているから、話しが折り合わない。

韓国は中国、ロシア、日本という強国に囲まれた半島の小国であり、国際情勢の変化に機敏に反応して生き抜いてきた。現在、日本企業が高級素材を喜んで売り、進んで工場進出しているから、日本を重く見る必要はない。重要なのは、中国にすり寄り、一層反日的になることである。

こうした動向に対して、日本は、現在、ロシア、東南アジア諸国、中東諸国の中で、中国を警戒する国と連携を深めるという未曾有の大戦略を展開している。その際、重要なことは、経済改革によって日本経済を復活させ、国際的影響力を高めることだ。国際社会では、経済弱国は相手にされない。

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