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静岡新聞論壇 3月6日掲載文
アメリカの衰退と日本の危うさ
中国との対決回避探る
アメリカの軍事費は世界の半分近くを占めているのに対して、GDPは世界の20%に過ぎない。かなり無理して、軍事超大国の地位を守ってきたが、中東で戦いに敗れたため、石油関連設備の輸出等の経済的な報酬を得られなかった。
第2期のオバマ政権は中東問題から離れ、リビア、エジプト、シリア等の内戦への介入をEU諸国に任せ、兵力を派遣しなかった。ウクライナへの軍事介入も無理である。
アメリカでは、軍事費と社会保障費の増大によって、財政赤字が拡大し、対外債務は膨張の一途を辿って、構造的な経済危機に陥ったので、小さな政府への国民的要求が強まり、今後、軍事費の継続的削減が決まった。
アメリカ政府は、戦争の危機が増加したアジアに兵力を集中せざるを得ない。中国は大気汚染をはじめとして多くの深刻な問題を抱えているが、10年近く先まで6~7%の成長が可能だろう。その頃、中国のGDPはアメリカの8割に達し、アメリカが軍事費を圧縮しているので、軍事力はアメリカに匹敵しているだろう。
歴史を振り返ると、新興大国の力が、覇権国に迫った時は戦争が起きる。第1次大戦ではドイツが、第2次大戦では日本とドイツがそれぞれ挑んだ。アメリカは中国の勢いを止め、戦争を避けたい。昨年、アメリカにおける米中首脳の非公式会談は8時間も費やされ バイデン副大統領は長い時間を中国で過ごして、中国をアメリカと対等な大国と認めて、真正面の対決を避ける道を探った。
現在、東アジアで、火を噴きそうな場所は尖閣諸島と北朝鮮である。アメリカは尖閣諸島で、日本に味方して中国と戦う気がない。軍事的衝突が起きた時には、アメリカの前線基地である日本に解決を委ねたい。安倍内閣は、その期待を利用して、国家安全保障会議、特定秘密保護法、集団的自衛権など、戦える独立国らしい法制の流れを作った。
アメリカは北朝鮮についても、韓国の軍事力を強化して、解決を現場の韓国に任せたい。ところが、韓国は最大の貿易相手国である中国と一体になって、北朝鮮の暴発を防ぎたいと考えている。中国にしてみると、北朝鮮と韓国に対する影響力が強まれば、日本の脇腹に突き出た朝鮮半島を支配できる。
日中韓の友好築くには
韓国は中・日・ロ等の強国に囲まれ、どの国かの支配下に入って、生き延びたという歴史がある。アメリカと中国はそれぞれ大きな餌で韓国を引きつけようとして、朴槿恵大統領を大歓迎した。彼女は中国よりに傾いている。
安倍晋三首相の靖国参拝とともに、中韓両国では、統一的な反日運動が強まり、日本が第2次大戦後の秩序を破壊していると非難し、世界的な反日キャンペーンを始めている。
日本の政治家が歴史問題について、日本を弁護する私見を述べると、反日運動を刺激するから禁物だ。それは学者に任せるべきだ。中韓両国と友好関係を築くには、大気汚染の解決に協力する等の努力が必要であるが、根本的解決には、歴史問題に関心が薄い世代が育つのを辛抱強く待つしか方法がない。